141 ページ42
___________________
____________
ゾムがまだ凶暴だった頃だったなあ。
なんて思っていたらAの昔より澄んだ目が此方を見てきた。
相変わらず不信に満ちていて、でも逃げようとはしないAがとてつもなく愛おしい。
「君をそこで見てから、ずっと幹部にしたいと思っとった。一目惚れ、みたいなもんやけど。別に天眼やなくたって君を幹部にしたい」
『__っ、』
「せやけど、信じられんよな。」
かがむとよく目が合う。動揺の色が隠しきれずに出ていた。
「なら、幹部やめよう。A、考えんかったらええねん。天眼なんて関係あらへん。俺と一緒にいて。逃げないで。さみしいやん」
『…や、やだ、…も、やだ、』
「__俺に、ずっと愛されてくれませんか」
『___________________っ、』
ぼろぼろと、涙が溢れてたから手を広げると抱きついてくる。
小さく震える小さな体。抱きしめる手は弱く拒絶を怯えているようで、愛しい。
前もこんなことあったな、なんて思っていたらAがぼそり、と呟いた。
『…捨てないで。頑張るから、捨てないで』
「それだけでええの？」
優しく問いかけると、躊躇って躊躇って、その後Aが小さく涙を流しながら、消え入りそうな声で言う。
『あいして』
「っ、」
今、自分がどんな顔しとるのかわかっとる？
必死にすがりつく目で見てきて、依存が全面に表れていて、思わず顔が緩む。
気持ち悪いだろうか。まあええわ、見えとらんやろ。
Aが思っとる程俺は出来た大人やないのに、過信しすぎがかわええ。
ぎゅっと抱きしめて、耳元で「もっと欲しいん？」と聞けば真っ赤になった顔で小さく頷かれる。
喉を鳴らした後、顎を持ち上げ半強制的に目を合わせる。
『__あ、の』
「んー？」
『…あんま、見んといてください……その、今、むっちゃ変な顔しとる…』
「かわええよ？」
ちゅ、とキスを落とし顔を見れば、いつもの余裕のあるAが消え、年相応の純粋さを見せる。
深いやつしようかな、と思ったけどあまりにも可愛い反応をしたのでやめておこう。
これ以上やったらそれこそ逃げそうや。
「あと3秒くらいかな。」
『え、』
「Aっ！！」
ゾムがとんでもない速さで来る。
不特定範囲の中、これだけの速さで俺らを見つけたのは流石暗殺部隊長やなあ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1938人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たい焼き - とっても面白かったです！オスマンがすっごい刺さりました！！ (3月18日 18時) (
レス) id: 5f87212f07 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - あッ好き！！！！！ (8月7日 16時) (レス) @page47 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
Saklsaki(プロフ) - こんな胸に来る作品を作って頂き有難うございます。もう泣くかと思いました。月の下り良かったですよ。神作品でした。自分もこんな作品を作れるように頑張りたいと思いました。 (2021年8月19日 17時) (レス) id: 7893269b23 (このIDを非表示/違反報告)
夏目。(プロフ) - すきです。番外編待っとります (2020年10月4日 3時) (レス) id: c6ffa1b029 (このIDを非表示/違反報告)
漢字ノートが終わらない小学生 - めっっっっっっちゃ私の性癖にこう、 『グサッ』的な感じで刺さります！！！！ (2020年8月18日 15時) (レス) id: abb7299221 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：壱
| 作成日時：2019年12月19日 18時
