検索窓
今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:46,402 hit

page5 ページ6

舞台の片付けはあっという間に終わり。次に案内されたのは寮だった。なんだか豪邸みたいで凄いなーと思った。いづみ先輩がこんな大きな劇団の監督なんて、私とは大違いだな。そんなことを思ったのは、乾杯を済ませてそれぞれ楽しく談笑していた時だった。李奈さんは至さんと仲良くお話している様だし、いづみ先輩も忙しそう。どうしようかな。


「Aちゃん、だっけ?」

「あ!はい!ええっと、伏見さん」

「臣でいいよ。堅苦しいし、みんなそう呼んでるから」

「臣、さん」


隣に座って話しかけてくれたのは伏見さん否、臣さんだった。衣装から着替えてもなんだか雰囲気のある人だ。デューイの役とは違って、すごい温厚そう。


「Aちゃんは、演劇が好きなのか?」

「いや、今日が初めてで...」

「そうか。気に入ってもらえたかな?」


その質問に私は勢いよく頷いた。特にデューイのシーンはドキドキしたと伝えると、嬉しそうにしてくれる臣さん。素敵な人だな。


「ちょっとおみみ!抜け駆け!?」

「え?いや、そんなつもりは...」

「Aちゃん!LIMEやってる?俺と交換しない?」

「ふぇっ...あのっ...」


私は男の人が一定距離内に入ってくるのが苦手だ。この人はその域を超えていて、近すぎる。というか既にくっついていると言った方がいいのだろうか。


「一成くん!!Aは近距離恐怖症なの!離れて〜!」

「え!そうだったの!?マジごめん〜」

「い、いえ。大丈夫です...」


一成くんと呼ばれた人は、真剣に謝ってくれた。その姿にこちらまで申し訳なくなる。でも、いづみ先輩のおかげで助かった。


「近距離恐怖症...大丈夫か?」

「あ、はい。このくらいなら」

「そうか。それなら良かった」


臣さんは少しだけ距離を開けてくれている。そして優しく笑って私を心配してくれた。この人なら私のこと、分かってくれるかもしれない...。ってなんてこと思ってるんだろう。今日出会ったばかりの人なのに。

page6→←page4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
65人がお気に入り
設定タグ:A3! , 伏見臣
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かりん | 作成日時:2018年5月8日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。