五十七 ＿未来への遺産＿ ページ8
「……この二人かね
密航者というのは……」
「！！」
大きな影が、女の小さな手首を掴み、ナイフを握ったその手を制す。かなりの体格差がある。少女の腕は、今にも折れてしまいそうだ。
それを見て、女性は顔を顰めた。
「……せめて力を緩めてあげてくださいな
折れてしまう
船長さん……で、あってる？」
「私は密航者に厳しいタチだ……
女の子とは言え、なめられると限度となく密航者がやってくる……」
「い、いてて……」
「港に着くまで下の船室に軟禁させてもらうよ」
女性は再びローブのフードを被り、5人を一瞥し、こう呟いた。
「……後で話を聞かせて」
それだけを言い残すと踵を返し、自ら船室へと向かって行った。
.
「……え？何？なんの騒ぎ？」
「いや降りてこいよ！まだ船室に居たのお前！？熱くねぇの！？」
「いや、いつまで経ってもアンと船長が来ないから、本読んでた……」
「いいから飛び降りろ！燃えるぞ！」
「燃える……？
…………おぉ……船が……燃えてる……
あ……服が……」
「早く飛び移れよ！なに悠長に実況してんだよ！」
「焦りは禁物ってよく言うし……」
「1番焦るべきはお前なんだよなぁ！？」
大爆発と共に、女性は火のついたローブを脱ぎ捨てた。革のポシェットを大事そうに抱えながら、船から飛び降りる。
「うぉ……っと……怪我はないか？」
ポルナレフが受け止めると頷いて、炎上する船を見上げた。
「…………あぁ……嫌な思い出が蘇る」
その女性はそう言うと、大人しくボートに座り込んだ。そして何やらポシェットの中を漁り始めたと思えば、水筒を少女に差し出した。
「水
飲んどいた方がいいよ」
「ありがと！」
少女は、女性にはすっかり心を開ききっているようだ。隣から、ピクリとも動こうとしない。
「……そこのお若いの」
「…………？」
「名前は何と言うのかのう？
教えてはくれんか」
「名前…………
……名前、ね
……困ったな
……本当の名前は私にも分かりませんが、皆からは色んな呼び方をされていましたから
自由に呼んでもらって構いません」
女性の言葉に、老人は少し俯いて
「＿＿……ならば
『A』とかはどうかのう？」
「…………」
その言葉に、女性が思わず老人を凝視した。ただでさえ大きな目が、更に見開かれている。
「……誰だ？」
「……ふふん
誰だと思う？」
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チョコだいしゅき(プロフ) - てめぇにやる名前はねぇええええ！でジョセフだなって悟った。 (2021年9月23日 0時) (
レス) @page21 id: c43c134812 (このIDを非表示/違反報告)
メイム(プロフ) - 更新ありがとうございます！ (2019年7月30日 22時) (レス) id: 89648f6823 (このIDを非表示/違反報告)
メイム(プロフ) - 引き込まれるお話のお上手さ…！ (2019年7月15日 23時) (レス) id: 89648f6823 (このIDを非表示/違反報告)
レイれい(プロフ) - 通知来たら真っ先にこれ見ます！面白いです！頑張ってください！ (2019年7月15日 18時) (レス) id: bed35b9be5 (このIDを非表示/違反報告)
神奈(プロフ) - とても続きが待ちどうしいです！これからも体が壊れない程度に頑張ってください^ ^ (2019年5月1日 2時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：1匹のメタリカ | 作成日時：2019年4月18日 23時
