23話 ページ25
「いらっしゃいませ〜。何名様でしょうか?」
と、茶髪のウェイトレスが尋ねる。人差し指を立てて、一名様ですと答えるとカウンターに案内された。
メニュー表を受け取り、パッと目に付いたサンドイッチを注文することにする。
「ハムサンド一つとアイスカフェラテ」
「かしこまりました!」
満点の笑顔を浮かべて、頷く。そしてもう一人のウェイターに声をかけ、作業に取りかかる。
どうやらサンドイッチを作るのはウェイターらしい。
明るい金髪。碧眼。褐色の肌――外見と笑顔から好青年の印象が強く、どことなくひなが重なる。
愛らしい顔立ちだが、俺の好みではない。残念。もう少し目付き良くて凛々しいかおつきだったらなぁ。
……俺の好みって結構一直線なのな。
約二人ほどが頭に浮かび、どちらもタイプが酷似していることに呆れる。
「お待たせしました、アイスカフェラテとハムサンドです」
すると、その好青年が注文品を俺の前に置いた。
ありがとう、とお礼を言うとお皿から手を引く。その、引いた手を見て、口角を上げた。
「ねぇ、店員クンは昔喧嘩でもしてたの?」
「……ええと、どういうことでしょう」
咄嗟のことに困ったような顔をする。
なるほど、俺のひなに似ているという目は、あながち間違っていないらしい。
首を横に振り、なんとなくねと息みたいに自然と嘘を吐く。
「ごめんね、引き止めて。ハムサンド、おいしくいただくよ」
それにウェイターも言及しない。頭を下げ、他の客のもとへ急ぐ。
メモを取る手をやはり見つめ、アイスカフェラテを飲んだ。
あのウェイターの手は、ただのカフェ店員にしては皮が分厚く、骨が張っていた。
本当に昔、喧嘩をしていただけかもしれないが。――銃を扱っていると、手つきはまた違うのだ。
「常連になろっかな〜」
と、愉しそうに呟く。
それから注文したハムサンドを一口食べ、その美味さに目を見張る。
前言撤回。ぜひとも美味しかったから、という意味でも常連になりたい。
今度ひなとかなを連れてこよう。かなはこういうの好きだから、喜ぶだろうな。
「うま〜」
「――」
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