・ ページ9
・
土井｢A！｣
『土井…さん』
私の意識がはっきりしたのがわかったのだろう、彼はギュッと私の全身を包むかのように抱きしめる
ふと、右に持っているものを確認すると、木刀の原型がないほどボロボロで、赤黒い液体がついている
徐々に感じなかった体に激痛が走った
ズキズキと痛む左腕、頭から血が流れているのか右目が開けにくい
『土井さん、離してください』
だが、彼は離してくれない
逆にもっと強く抱きしめられて少し苦しい
土井｢Aが無事でよかった｣
離してくれないので、私はそのまま土井さんに質問した
『土井さん、私を襲った忍者は…』
土井｢君が倒した敵は運ばれて逃げたよ｣
『そう、ですか。
あと、もう一度言いますが大丈夫ですから離してください』
もう一度同じ言葉で言うと彼はゆっくりと離れてくれた
私は右手の力が抜け、手に持っている木刀を落としフラフラになりながらも、家の中に向かった
家の中は鉄臭かった、部屋は赤黒い液体が飛び散りそして床には壁と同じく液体が大量に溢れ、私の大切な2人は無惨な姿になっていた
土井｢A…｣
『土井さん、これは夢ではないのですね。だって左腕が痛いのですから
なのにさっきまであんなに元気だったのに、家に帰ったら、温かいご飯があると思って楽しみにしてたのに…私のせいで』
すると土井さんは｢えっ｣と答える
私はそのまま言葉を続ける
『私を襲った忍者は、私の両親をあやめた忍者でした、きっと私がここにいる情報を知ってこの家の2人を襲ったのでしょう』
涙がボロボロと流れ口の中がしょっぱくなる
『自分が憎いです、私は幸せを求めすぎたのです。
こんなことになるのはわかっていたのに、幸せに溺れて、それに目を向けずに逃げて
あの人達に頼りすぎたのです』
土井｢そんなことはない｣
真っ直ぐと貫くようなはっきりとした声に私は目を丸くし、土井さんに目を向ける
土井｢人は幸せを求めていい生き物なんだ。君は人間として当たり前のことをしたまでだ、だからもう自分を責めなくていい｣
あぁ、なんて素敵な人なんだろう、この人が独身だなんておかしいとしか思えない
その言葉に救われたのだろうか、涙はすぐに止まった。私は袖で濡れた顔を拭って口を開ける
『ありがとうございます。土井さん、埋葬するのを手伝ってくれますか』
そういうと彼は｢あぁ｣と静かに答えて私と一緒に埋葬をしてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 良いお話ですね〜(∩´∀`∩) (2023年2月11日 0時) (
レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
猫結び(プロフ) - 涙脆い幽霊さん» 嬉しいお言葉と応援ありがとうございます！初投稿でまだまだ未熟な所もありますが、このコメントをバネに頑張って夢主ちゃんが幸せになる結末を書いていこうと思います！ (2021年3月7日 21時) (レス) id: f6b7f3f5e6 (このIDを非表示/違反報告)
涙脆い幽霊 - こんばんは。第一話だけで、涙を流しました！これからも応援しています！！無理せず、頑張ってください！ (2021年3月7日 21時) (レス) id: 8867205e66 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お昼寝 | 作成日時：2020年4月16日 2時
