七話 ページ8
太宰君との契約?をしてから一週間。
一日目にあったことと云えば、質問攻めだった。女子から尋ねられる「太宰君と付き合ってるってほんと!?」という質問に、休み時間を潰された。
廊下を歩けば質問攻めにされ、教室に居ても質問攻めにされ。私の居場所はないのだろうか。
私が女子に囲まれているにも関わらず、太宰君のところには誰一人寄っていかない。
不思議な念力が働いて、女子たちを跳ね返しているのかと思ってしまうくらいだ。
二日目も同じ調子。そして三日目になると、急に質問攻めが止んだ。
代わりに、女子たちが私を見ながら、ヒソヒソと何かを話す。かなり気分が悪かった。廊下に出ても睨まれ、陰口を叩かれ。いやになって、途中で早退した。
女子に真っ正面から暴言を吐かれたのは四日目だった。
太宰君とは屋上での時以来、一度も話していない。あの日のことがなかったかのように、太宰君とは関わらずにいた。
そのせいか廊下で私に聞こえるように「ほんとは太宰君とは付き合ってないんだよー、アイツが勝手に思い込んでるだけだってー!」とおおこえ云う女子もいる。
陰口や妬みを聞きたくなくて、足速に廊下を歩いていると、隣のクラスの井坂さんに呼び止められた。
井坂さんは気の強いタイプで、あまり関わったことはなかったけど、正直苦手なタイプだった。
「アンタ、本当は治君と付き合ってないんでしょ」
「……え?」
治が誰なのかわからず戸惑ったが、嗚呼、太宰君の下の名前か、と思い直した。
「アンタたちが話してるところなんて見たことないし、治君とは別々に帰ってるし。ほんとは嘘吐いてるんでしょ」
井坂さんは威圧するように、語尾を強めた。
「嘘吐いたこと、みんなに謝りなよ。泣いてる子もいたんだからね」
「別に、嘘じゃ……」
井坂さんは舌打ちをして、壁を蹴った。ゴンッという音で頭が麻痺しそうになる。
「嘘吐くなっつてんだろ!お前みたいな奴に、治君が振り向くわけねェんだよっ!!」
泣きそうに、なった。太宰君の彼女になるだけでこんな目に遭うのか。太宰君の彼女が私というだけで、みんな私を否定するのか。
中原君のことも、もういいや。太宰君に謝って、仮面彼女は辞めよう。走って逃げよう、そう思って後ろを振り向いた。すると____。
「おい。何してんだ、手前」
あの人の声がした。
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嘘だろお前まさか - マヂこの小説好きです…これは切実に夢主チャンと中也結ばれて欲しいけど、太宰サンの小説(メタ)だし太宰サンの気持ちも報われるといいね…考えれば考えるほど難しいン…もう会話の一つ一つがえもいというかなんというか!!!! (2月20日 22時) (レス) @page31 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
Kakinotane - 好… 最高か!?太宰さんかわよいし、中原さんも主ちゃんを支えてくれてるの良いなぁ (2月10日 17時) (レス) id: 495f3defd1 (このIDを非表示/違反報告)
あっぴー - くぅぅぅふつうに尊い… (2月10日 14時) (レス) @page28 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 感想さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2月4日 18時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
感想 - なんだかんだ一番面白い好きお話の続き応援してるので完結してください! (2月4日 18時) (レス) id: 37e340b4fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘たまき | 作成日時:2023年12月5日 15時