三十四話 ページ35
「なーんかAちゃんって残念だよね」
「………はあ?」
お前が云うな、と怒鳴りたい所存である。が、私は精神が成熟しているため、決して怒鳴ったりはしなかった。えらい。
「こう、もっと色っぽく、上品に舐めてほしいのだけど」
「食欲失せたんだけど」
太宰君の云いたいことはわかった。アイスをアレに見立るとは。大変気色が悪い。
「男なら誰もが想像するものだよ。あ、折角だし、私の棒アイスでも食べ___」
太宰君を殴った右手からは小気味良い音が鳴った。太宰君は痛いよ〜、と殴られた右頬を押さえて嘘泣きをした。まったく、そんな演技に騙されると思っているのか。
「あんまりふざけてると嫌いになるよ」
「今は好きってこと!?」
どんなポジティブシンキングだよ。
太宰君にあまりに呆れてしまって、もう何も云わないことにした。黙ってアイスを齧る。太宰君も、私が構ってくれないことを理解したのか、アイスを食べ始めた。
先に食べ終わった太宰君は暇そうにアイスの棒を弄んでいた。時々私の方をチラチラと見てくる。居心地が悪いったらありゃしない。
「あんま見ないでよ。食べにくい」
「気にしなくてもいいよ」
何故そんなに上から目線なんだ………。首を180°に曲げてやろうか。太宰君に背を向けてさっさと食べることにした。
食べ終わったアイスの棒を店の外に置かれてあるゴミ箱に捨てる。
「ほら、帰ろ」
太宰君が手を差し出して云った。私はその手を握って歩き出す。太宰君は今にもスキップしそうなくらい嬉しそうに歩いている。
「どうしたの?何かテンション高いね」
「いや、Aちゃんと初めてデートみたいなことしたなって」
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嘘だろお前まさか - マヂこの小説好きです…これは切実に夢主チャンと中也結ばれて欲しいけど、太宰サンの小説(メタ)だし太宰サンの気持ちも報われるといいね…考えれば考えるほど難しいン…もう会話の一つ一つがえもいというかなんというか!!!! (2月20日 22時) (レス) @page31 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
Kakinotane - 好… 最高か!?太宰さんかわよいし、中原さんも主ちゃんを支えてくれてるの良いなぁ (2月10日 17時) (レス) id: 495f3defd1 (このIDを非表示/違反報告)
あっぴー - くぅぅぅふつうに尊い… (2月10日 14時) (レス) @page28 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 感想さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2月4日 18時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
感想 - なんだかんだ一番面白い好きお話の続き応援してるので完結してください! (2月4日 18時) (レス) id: 37e340b4fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘たまき | 作成日時:2023年12月5日 15時