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二十八話 ページ29

「Aちゃん酷い。私が居るのに他の男に現を抜かすなんて!」

「はいはい、私は太宰君のことしか見てませんよー」


次の問題教えて、と促がすようにシャーペンで問題を差した。


「本当に私しか見れなくしてあげようか?」

「遠慮するよ。ところでモル比って?」


モル比っていうのは………。これまた文句が出ないくらい簡潔かつ丁寧に教えてもらった。彼の教え方は下手な教師より、よっぽど上手い。


「Aちゃん、実は私も教えてほしい教科があるのだよね」

「え?一体何の教科?」


太宰君に苦手な教科があったなんて。でも太宰君でもわからない問題を私が教えられるだろうか。


「私、Aちゃんに保健体育教えてもらいたいな」

「今悪寒がした。帰るわ」


ノートと教科書をカバンに詰めた。席を立とうとすると、冗談だよ、と太宰君に止められる。


「冗談でもやめてよ。死因が悪寒で凍死なんて嫌だから」

「ひどいなぁ。………まあ、冗談ではないけど」


最後に呟いた一言、聞き捨てならんぞ。


「保健体育はAちゃんに教えてもらうまでもないけどね!」

「そんなドヤ顔して云えることじゃないから」







六時近くになったので、帰ろうということになった。夕日が私たちを照らす。あまりの眩しさに目を細めた。


「ねえ、Aちゃん」

「ん、どうしたの?」

「空が綺麗だね」

「確かに綺麗だね」

「もー、絶対意味わかっていないでしょう」


唇を尖らす太宰君。空が綺麗………。月が綺麗ですね系のやつなのかな。


「空が綺麗ですねって云うのは、貴女のことを愛してますって意味なんだよ」


ふーん。ロマンチックだけど、そういう知識が無いとわからないやつはイマイチだな。


「うーん、三点」

「低すぎる!」

「私は直球の方が好きだもん」

「愛してる」

「………六点。中原君なら百点満点だった」

「あっ。十点満点じゃないんだ………」

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嘘だろお前まさか - マヂこの小説好きです…これは切実に夢主チャンと中也結ばれて欲しいけど、太宰サンの小説(メタ)だし太宰サンの気持ちも報われるといいね…考えれば考えるほど難しいン…もう会話の一つ一つがえもいというかなんというか!!!! (2月20日 22時) (レス) @page31 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
Kakinotane - 好… 最高か!?太宰さんかわよいし、中原さんも主ちゃんを支えてくれてるの良いなぁ (2月10日 17時) (レス) id: 495f3defd1 (このIDを非表示/違反報告)
あっぴー - くぅぅぅふつうに尊い… (2月10日 14時) (レス) @page28 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 感想さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2月4日 18時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
感想 - なんだかんだ一番面白い好きお話の続き応援してるので完結してください! (2月4日 18時) (レス) id: 37e340b4fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橘たまき | 作成日時:2023年12月5日 15時

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