靴 箱 間 違 え た

二十六話 ページ27

放課後、誰もいなくなったので太宰君と二人で勉強会を始めた。手始めに一番苦手な数学を教えてもらう。


「ここの問題、解き方わかる？」

「んんー、んんん、んんんんん」

「だいぶん苦悩してるねぇ。基本問題のはずなのだけど」


赤点常連を舐めるな！

何故か私は数学はどれだけ勉強しても誤差程度しか点数が上がらないのだ。勉強のやり方とか色々工夫してるのになぁ。


「ああ、頭パンクするぅ………」


机に突っ伏した。

公式とかはなんとなく覚えられるのに、それをどう使えばいいのかがわからない。


「ヒントを出そうか」

「お願いします………」

「まずここはねぇ………」


太宰君の教え方は上手かった。成績上位、というのも頷けるくらいには。その甲斐あってか、何問かは自力で解けた。


「やった！解けた！」

「おお、すごいねぇ。………Aちゃんの扱い方って幼稚園児みたいだね」

「アンタがそれを云うな」


いっつも駄々捏ねてる太宰君に云われたくないわ。

ジロリと睨むと、太宰君はごめんごめんと云いつつ、全く反省していないようにヘラヘラと笑った。

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