十八話 ページ19
鏡の前に立たされる。
ほら、どう?似合うでしょう?太宰君は私の周りをくるくると回りながら尋ねてきた。
前髪は眉毛より少し下まで切られていた。前髪が梳かれ、軽い印象になる。本当に自分なのかって思うくらい、明るく見えた。
「Aちゃん、一気にかわいくなったよ。ほら、髪もくくって」
どこからか取り出したヘアゴムで、太宰君が髪を結んだ。器用にも編み込みを入れて、高い位置で一つにくくられた。
「私、三つ編みも編み込みもできるのだよ。Aちゃんくらいの長さなら、もっと色んなアレンジだってできるだろうし。自分でやるのが難しいなら、私が毎朝くくってあげる」
太宰君は親に褒めてもらうためにアピールする子供のようだった。誇らしげに胸を張る彼に、私は云った。
「太宰君、ありがとう!すっごいよ!ほんと、ありがとうね!」
「え、うん」
惚けたように目を白黒させる太宰君。不思議に思ってどうしたの、と尋ねる。
「いや、少し意外で。まさかこんなに喜ぶとは思ってなくて。精々『わー、すごーい』程度かと」
「え、私そんなにテンション低い?」
「うん。かなり」
なんかショックだなぁ。太宰君の言葉に落ち込んでいると、でも、と付け足して云ってきた。
「嬉しいよ。君が喜んでくれて。今までの彼女たちには喜ばせたりはしなかったから」
「いや、顔目当てでもそれはいかんでしょ」
「だから___」
太宰君は一度そこで言葉を区切った。今までに見たことがないような、優しい笑みを浮かべている。
「___その分、君を喜ばしてあげるね」
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嘘だろお前まさか - マヂこの小説好きです…これは切実に夢主チャンと中也結ばれて欲しいけど、太宰サンの小説(メタ)だし太宰サンの気持ちも報われるといいね…考えれば考えるほど難しいン…もう会話の一つ一つがえもいというかなんというか!!!! (2月20日 22時) (レス) @page31 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
Kakinotane - 好… 最高か!?太宰さんかわよいし、中原さんも主ちゃんを支えてくれてるの良いなぁ (2月10日 17時) (レス) id: 495f3defd1 (このIDを非表示/違反報告)
あっぴー - くぅぅぅふつうに尊い… (2月10日 14時) (レス) @page28 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 感想さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2月4日 18時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
感想 - なんだかんだ一番面白い好きお話の続き応援してるので完結してください! (2月4日 18時) (レス) id: 37e340b4fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘たまき | 作成日時:2023年12月5日 15時