十七話 ページ18
「美容院は予約しないと無理だろうし。よし!私が切ってあげよう!」
太宰君がキラキラと目を輝かせて云った。さも名案だ、という風に云っているが、私は反対だからな。
前髪は最近伸びてきたなぁ、とは思ってたから、切ること自体に反対はしない。でも。太宰君に前髪だけは預けたくない。某CMに出てくるラップの姉妹みたいな前髪にされかねない。
「いや、いいよ。明日にでも美容院予約するし」
「いや、善は急げだ!」
「本当に大丈夫です!それに、私前髪へのこだわり強いからさっ!」
「大丈夫!ミニマリスト太宰が、君に似合う髪型にしてあげよう!」
「遠慮しますぅ!って、ジリジリ寄ってくんなっ!!」
*
結局捕まった。
窓を拭く用の新聞紙を持って、椅子に座らせられた。ハサミをチョキチョキと動かす太宰君を見上げる。うわぁ、いい笑顔してる。今までに見たことないくらいウキウキしてる。
「目瞑って」
云われた通りに目を閉じる。抵抗はしない。すればもっとひどくなるだろうから。
ジョキン、というと共に、パサン、という前髪が落ちる音がした。前髪が一気に切られた気がする。普通、髪を切るときって、少しずつ調整しながら切るものじゃないの。
目を開けようとすれば「ダメ、閉じてて」と云われた。
「太宰君、これほんとに大丈夫?前髪一センチとかやだよ」
「心配しなくていいよ。私好みになってきてるから」
ジョキン、ジョキン、と音が続いた。ときどき、くしで前髪を解かれたり、顔にかかった髪の毛を払ってくれた。
「よし!完成だよ!」
ほら、鏡見に行くよ。そう手を引かれ、鏡がつけられてある水道場まで連れて行かれた。
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嘘だろお前まさか - マヂこの小説好きです…これは切実に夢主チャンと中也結ばれて欲しいけど、太宰サンの小説(メタ)だし太宰サンの気持ちも報われるといいね…考えれば考えるほど難しいン…もう会話の一つ一つがえもいというかなんというか!!!! (2月20日 22時) (レス) @page31 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
Kakinotane - 好… 最高か!?太宰さんかわよいし、中原さんも主ちゃんを支えてくれてるの良いなぁ (2月10日 17時) (レス) id: 495f3defd1 (このIDを非表示/違反報告)
あっぴー - くぅぅぅふつうに尊い… (2月10日 14時) (レス) @page28 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 感想さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2月4日 18時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
感想 - なんだかんだ一番面白い好きお話の続き応援してるので完結してください! (2月4日 18時) (レス) id: 37e340b4fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘たまき | 作成日時:2023年12月5日 15時