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十五話 ページ16

「無理無理!自分からなんて!」

「君からしてくれたら、今日はそれで終わりにするよ」

「うぐっ……」

「それとも何?私ともっと触れ合いたいのかい?」


可愛いねぇ、と笑いながら太宰君は云った。何だ、そのひん曲がった解釈は。ちょっとイラつくし、その解釈をされるのは癪だ。はあ、とため息を吐く。


「わかった。じゃあ、手出して」

「やったぁ!あ、休憩要る?」

「………大丈夫。休憩とったら、気が変わりそう」


太宰君は手のひらを私に見せるようにして手を差し出す。私は指の先を太宰君の指の先に重ねた。しばらくそのままにしていると、


「え、それだけ?先っちょだけ?もっといろんなところ触ってよ」

「い、云い方っ!」

「ん?云い方は普通だと思うけどなぁ。何か変なことでも考えてるの?」

「わかってて云ってるでしょ!」

「そんなことより、ほら」


視線を手に戻す。どう触れというんだ。太宰君はどう触ってきたか。思い出しながら真似するように、手のひらの真ん中あたりをなぞった。

太宰君はくすぐったい、と笑う。それからしばらくなぞったり、撫でたりした。クスクス笑う太宰君に釣られて、私も笑みが溢れる。


「ねえ、今なら手繋いでも恥ずかしくないんじゃない?」

「え、繋ぐの?」

「今日は手を繋いで帰りたいなって」

「んー、わかった。いいよ」


太宰君は私がこんなに簡単に許可したことが意外だったらしく、目をパチクリとして驚いていた。でもすぐに嬉しそうに目を細める。


「やったぁ!早く帰ろう、Aちゃん!」

「待って、荷物持つから」


鞄を肩にかけると、太宰君は手を出してきた。気恥ずかしいなとは思ったが、前回ほどではなく、今回はすんなりと手を握れた。


「そういえば、太宰君はどうしてそんなに手を繋ぎたいわけ?」

歩きながら尋ねた。


「だって私、女の子と触れ合うの大好きなんだもの」

「うわぁ、聞くんじゃなかったぁ」

「男子はみなそうさ。煩悩の中を彷徨い、生きている。君の大好きな中也だってね」

「煩悩抱えた状態で触られるの嫌なんだけど」

「君って時々酷いよね」

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嘘だろお前まさか - マヂこの小説好きです…これは切実に夢主チャンと中也結ばれて欲しいけど、太宰サンの小説(メタ)だし太宰サンの気持ちも報われるといいね…考えれば考えるほど難しいン…もう会話の一つ一つがえもいというかなんというか!!!! (2月20日 22時) (レス) @page31 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
Kakinotane - 好… 最高か!?太宰さんかわよいし、中原さんも主ちゃんを支えてくれてるの良いなぁ (2月10日 17時) (レス) id: 495f3defd1 (このIDを非表示/違反報告)
あっぴー - くぅぅぅふつうに尊い… (2月10日 14時) (レス) @page28 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 感想さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2月4日 18時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
感想 - なんだかんだ一番面白い好きお話の続き応援してるので完結してください! (2月4日 18時) (レス) id: 37e340b4fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橘たまき | 作成日時:2023年12月5日 15時

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