ポートマフィアのカウンセラー2

53、酒に呑まれて大乱闘 ページ8

たぶん二十分くらい梶井さんの話を聞いていたと思う。とは云っても、早口過ぎてほとんど聞き取れなかった。中也君の云っていた『怖くはないけど、ちょっと変わった奴』の意味がよくわかった。


一通り語り終えた梶井さんは酒を一口二口煽った。そしてそのまま机に突っ伏して寝てしまった。………なんか、忙しい人だな。


「さてと、我々もそろそろ帰るとしよう」


広津さんがそう云うと同時に立ち上がる。それに続くように中也君も立ち上がった。

梶井さんはどうする、と彼を指して尋ねると、俺が運ぶと中也君が云った。中也君は重力を感じさせないくらい軽々と梶井さんを持ち上げた。


「いいなぁ、私も抱っこして〜」

「オメェ酔ってるだろ」


中也君のデコピンが飛んできた。痛ったあいっ！悲鳴を上げれば、酔いが覚めたか？と悪戯に笑われた。


「中也君生意気。私これでも歳上なんだよ？ほら、敬いなよ」

「へいへい、じゃあ歳上らしく奢ってくれるか？」

「中也様〜！先程のご無礼をお許しください〜！」



.




翌日、私を襲ったのは、二日酔いによる頭痛だった。あの後自宅で手早く風呂を済ませ、気絶するように眠ってしまった。


嗚呼、そういえば今日はスクールカウンセラーの日だな。時計を確認する。


「えっ！うそっ！」


長針は既に八時を指していた。あと二十分で学校へ着かなければいけない。少なくとも十分は学校へ行くのにかかる。残り十分で身支度を終えなければ。


ファンデを適当に肌に乗せて、バレッタで髪を適当に止める。いつものシャツとスカート、上着を身につけて家を出た。

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