59、すべて吐きだして ページ14
廊下を走り、その先にあるトイレまで駆け込んだ。便器の上に蹲るようにして覆い被さると、酸っぱい液状のものが、喉の奥から少しずつ漏れ出してきた。
喉から少しずつ漏れ出してくる酸っぱい液体を吐き出すと、一気に口の奥から吐瀉物が出てきた。涙が目から滲み出る。
「うっ………」
また吐きそうになって俯く。なかなか吐瀉物が出てこなくて苦しい。息が荒くなる。苦しくて泣いてしまいそうになったその時、隣から声がした。
「君、大丈夫!?」
視線だけを横にずらすと、そこには白衣を着た若い女性が立っていた。
いつの間に、と思っていると、女性は背中をぽんぽんと軽く叩いて「ほら、吐き出しなさい。側にいるから」と優しく声をかけてきた。
背中を軽く叩かれたおかげか、一気に吐瀉物が流れ出た。胃の中が空っぽになったからか、黄色い胃液も所々混ざっていた。
「よしよし、辛かったね。水あるから口の中濯ごうか」
女性はペットボトルを差し出す。それを受け取って、数回うがいをした。口の中から酸の味がなくなる。
「水分も摂っておきなよ」
そう云われて水をちびちびと飲む。飲みながら考える。この人、誰だろ。白衣を着ているけど、医務室の先生とは別人だし、初めてみる顔だった。
「あの………」
「それで君、一体何があったの」
今までの優しい目からは一変、瞳には鋭い光が浮かんでいた。でも睨みつけるような鋭い眼光は、私に向けられたものではない。………すべて話してしまおうか。
この人なら助けてくれる。そんな確信があった。
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
←58、閉塞感に支配された教室
369人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
橘たまき(プロフ) - キューブさん» コメントありがとうございます!できる限りキャラ崩壊や口調違いを起こさないように気を遣っていたので、そう言っていただけて嬉しいです! (12月9日 2時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - そのキャラを別に推してるわけではないがちゃんと理解してくれてる人の書く推し特有の良さ (12月9日 1時) (レス) @page4 id: 4a22970169 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 調べたのですが、合っているか不安なのでそちらからも確認お願いしますTwitterのIDは@kurono_hoshinoです (11月27日 17時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - shizucuさん» コメントありがとうございます!応援嬉しいです。ちょうどTwitterをやっているので、そちらでよろしくお願いします! (11月27日 17時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
shizucu - いつも見てます!!続きが楽しみです…!よければネッ友なりませんか!?もしDiscordやってましたら、shizucuで探していただけると嬉しいです!Twitterは@ShizucuYohanaです!よろしくお願いします! (11月27日 9時) (レス) id: 9a9cd12b71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:橘たまき | 作成日時:2023年11月26日 1時