こちら遺品お届け係【鬼滅の刃】

歪んで歪な ページ37

『マダ、イキテ、イタイ……』

原型をとどめていない“それ”は、
おぞましく、禍々しい。


『イタイノ、キライ』


全方位にある目はそれを見た者に恐怖を与える。

大きく見開かれ、それぞれ上や下、左右色々な方向を向いている。


まるでずっとなにかに怯えているかのようだ。



無数に生えた人間の顔の大きさほどの手のひらには、髪の長い黒髪の女ばかり引きずられていたり、掴まれていたりした。



『ワタシヲ、コワガリ、』


まだ少し、と言っても虫の息ほどだが息のある女が、唸り声をあげる。



『コロソウト、ナイフモツ』


その女を持っている手を己の前に髪を掴んで持ち上げる。

｢ああっ、ああああああっっっ！！！！｣


その痛みに、女の失いかけた意識がもどる。



『ワタシノ、アイヲ、ナゼコバム？』


鬼の、歪(ゆが)んで歪(いびつ)な愛がその女を襲う。
女は息を引き取った。


『クロカミ、オンナ、キレイ』


息を引き取った後、手を元の位置にもどし、また引ずる。



『ボクノ？ワタシノ、？アイヲ、ウケトレ？』



異形の鬼、その鬼は愛を与えることを求める。

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