For you (ページ17)

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挨拶を交わしたあと、俺は彼女に付いていくように命令された。

「…」

一言も話さずスタスタと歩いていく彼女。合わせるように俺も後ろを歩いた。

「ここが私の部屋。入る時はノックを必ずして」

「かしこまりました」

中に入ると、アンティークな雰囲気が広がっていた。

綺麗に整列された本の数々、クリスタルで出来たプリンセスのフィギュアがガラスケースに飾られていた。

綺麗に整頓された部屋だと思ったが、机に目をやった。

机に手紙が散乱している。

「途中だったからこんなになってるの」

俺の視線に気づいたのか腕を組んでそう言った。

「あなたには特に何も言わない。自分がやるべきと思った事をして」

淡々と言った。

彼女と再び会ってから違和感があった。

瞳の中にある微かな光。前はあんなにきらきらしていたのに。

彼女は喜怒哀楽の『喜』と『楽』が抜けていて例えるなら感情が無い人形のようだった。

今の彼女は弱っていた。

何かに思い詰めているようで、そして失望してるように見える。

その原因が何かは分からない。

だけど、俺は執事だ。

主をこんな表情にさせておくわけにはいかない。