クロトの微笑。

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藤「.....この教会は二人で？」

北「はい、シスターは幼い時から
　 ボクの面倒をみてくれていました」

藤「...神父、お名前は？」

北「あ、ボクは北山宏光と言います」





この人、明らかにボクより
年上だろうなぁ.....




藤「俺、藤ヶ谷太輔って言います.
　 あの、聖書とギリシャ神話って同じなんですか？」

北「いや、別物ですよ？
　 ただ単に、ボクがギリシャ神話に興味を
　 持っているだけで」

藤「あ、そうなんですね。
　 北山さんが楽しそうに話してくれるから
　 なんだか神様のこととか、興味が出てきました」

北「なんでも聞いてください」

藤「ありがとうございます」

北「太輔さん...またここへいらして
　 くださいますか？」





ボク、なに聞いちゃってんだろ




初対面の人に、しかもこんな山奥の
ただの教会に





迷惑なだけだよね





だけど藤ヶ谷さんは、満面の笑みで






藤「もちろんっ！」




と、返してくれた







帰り際、藤ヶ谷さんは言った




藤「クロト様に感謝して
　 とりあえずバイトでも探します！」




お道化た表情で小さく敬礼をして




車に乗って帰って行った。





教会に残ったのは



藤ヶ谷さんが置いて行った



爽やかな香りと甘い香り




そして、アールグレイの紅茶の香りだった








誰かを愛してはいけない定めの神父






そんなボクが、掟を無視して




初めて誰かを愛した瞬間だった。







愛を紡ぐ者・クロト様








この愛に、どうか微笑んでくださいませんか？




藤ヶ谷さんが帰った後




祭壇に向かって、クロト様にお祈りを捧げた

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