クロトの微笑。

【31】 ページ32

.



藤ヶ谷さん…

どうして貴方は




いきなりボクにキスをしたんですか？




どうしてボクに会いに来てくれないんですか？



ボクなんて嫌いですか？








シ「……神父様、ご飯をお持ちしましたよ？」



北「いらない、食べたくない。」



食欲が湧かない。




シ「……置いておくので食べてくださいね。私はお庭の手入れに行きますわ。」




そう言ってシスターは部屋を出ていった。




窓から見えるシスターの姿。



その影に重なった、見覚えのある人影



北「……あ、藤ヶ谷さん…横尾さんも…」



藤ヶ谷さんと横尾さんが
シスターと話している姿が見えた。



北「……ｩｯ､…藤ヶ谷さんっ…」



早く会いに来てよ。




なのに藤ヶ谷さんはその場を動かなかった。




北「……っ、どうして…」



どうして、どうして、どうして…



北「はぁ、っ、はぁ！」


バクバクと動悸が起きた。





そしてあの……





思い出したくもない光景が
浮かんで





北「……ﾊｧ、り、凛子っ…ど、どうしてっ....うっ、ごめんなさいっ...」




ヤバイ…



苦しいっ…



北「う、ぅぁあぁぁぁぁあぁあ！！！」




横「みつ！！」





誰も信じられない.....



誰もボクなんて







必要としてないの？





パニックになったボクは
部屋のものを投げて荒らしまくった。





横「落ち着け、みつ！！」




北「……ﾊｧ、藤ヶ谷さんっ…どうして、どうして！」




横「……みつ！！、みつ！！」



ボクは狂ったように
暴れまくった。




そして気がつけばシスターの悲鳴。





北「う、クロト様ぁあぁあ！！！」



ーバンっ！


大きな音を立ててドアを開けた
横尾さん。




横「大変だっ！ヤバイって、みつ！」


ーピタッ





北「……えっ？」



横「……藤ヶ谷さんが事故にあった……」




その言葉を聞いた瞬間



ボクは崩れ落ちた。








敬愛していたクロト様に



裏切られたんだ

【32】→←【30】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す