クロトの微笑。

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藤「俺はこれでっ....」






帰ろうと車のほうに足を向けた時だった









渉「はぁ..はぁ.....シスター！！」

シ「どうしました？」





息を切らした横尾さんが慌てた
顔して教会から出てきた








シ「どうしたんですか！？」

渉「みつがっ....んっ...みつが大変なんですっ！！」

藤「えっ....」

渉「すぐ来てくださいっ！」








シスターと横尾さんは、走って
教会へ入って行った









俺は......動けなかった









頭の中をグルグル廻るのは


さっきシスターから言われた、冷たい言葉達




俺の恋心は、あの言葉達によって



全否定されたんだ









北山さんには、会わないほうがいい








再び、車のほうへと足を向けた時だった









―ガシャーンッッッ！！！







教会の二階の部屋から聞こえた
物が割れる音







そして、シスターの悲鳴









心は動いていた






体だけが動かなくて





動けよ....俺の足っ....









渉「太輔さんっ！！
　 なにしてんだよ！」

藤「......」





自分でも思ってるよ




なにしてんだって。






藤「すいませんっ.....帰りますっ....」

渉「あんたっ！！....みつのこと好きなんだろ！？
　 いまのみつを救えるのはっ、あんたしかいないんだぞ！！」

藤「すいませんっ.......」

渉「見損なったよ....あんたのみつに対する想いは
　 そんなもんなんだな.....帰れっ....」









俺に投げられた言葉達は




まるでクロト様に言われているような気がした







俺が急ぎ過ぎて、ちゃんと愛せなかったから？





愛を......粗末にしたから？






答えてよ....









頼むからっ.....クロト様っ...









藤「......俺に微笑んでよっ.....」









俺はそう呟いて





赤信号の交差点に向かって









アクセルを踏んだんだ。

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