【忍たま夢】きり丸の為に死ねるなら悔いはない2

三客襲来3/決意 ページ9

というか10歳女児に鈍いも何もないと思うんだけど。よほど早熟な子じゃないと恋愛なんてしなくない？
いや、最近の子はませてるから小学生でも恋バナとかバリバリなのかな？
待って待ってここ室町。室町？ 室町ってことは結婚年齢も低いし、10歳でも恋愛とかしてる感じ？ んなアホな。
というか私、近所に同い年ぐらいの女の子の友達いないから分からん！
うわマジか今気づいた私超ハブられてる。ぼっちじゃん。さみし。

「なっ、あ、ちが、そういうんじゃ！！」
「照れるな照れるな。俺にも倅にも、そういう時があったからなあ。くうぅ、懐かしいぜ」
「違うってば！」

ドンマイ、きり丸。けど多分そうやって必死になって赤くなって否定するから更におっちゃんをエスカレートさせるんだとわたし思うな。
頑張れ！

私は水を汲むために、そっとその場から離れた。


・



さて、今日はきり丸にバレそうになるという事件が起きた。
しかもしんべヱは嬉しいことにこのお店の団子を気に入ったらしく、また来るね、と言ってくれた。
しんべヱが来ると売れまくるからいいけど、是非とも一人で来て欲しい。もしくは乱太郎と二人で。
いやでもそれはきり丸だけハブられてるみたいで可哀想だからやっぱりなし。

「……出よう」

いい加減、誤魔化すのも限界がある。
きり丸はきっと何かの拍子で、私が四年前この家に転がり込んだのを聞くだろう。勘ちゃんから伝わる事もあるかもしれない。
そしたら聡明なきり丸はきっと気付いてしまう。
私が、Aである事を。

そうなる前に逃げ出そう。
敵前逃亡は武士の恥だが、私は武士じゃないからセーフ。

ああ、けどきり丸、元気そうだったな。よかった。
本当に、生きててよかったよ。一目見れて私は大満足だ。


今まで貯めたお金と母の簪を巾着袋に入れて、皆が寝静まった夜に家をこっそり抜け出した。
一応、『旅に出ます。探さないでください』とは書いて置いたから、きっと大丈夫。

おじさんやおばさんには心配かけちゃうし、迷惑かけちゃうな。不出来な子供でごめんなさい。

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