三客襲来1 ページ7
「いらっしゃいま」
「お団子おぉぉお〜〜!!」
「うおあっ!?」
突進してきた小さなお客様を避け切ることができず、私は思いっきり弾き飛ばされて尻餅をつく。イテテ、配膳途中じゃなくて良かった。
というか団子屋の娘的には「うおあ!?」よりも「きゃっ」みたいな感じの方が良かったはずだ。くそう、なんたる失態。
……でもやっぱ咄嗟に出るのって地じゃん?(開き直り)
仕方ない。私はこういう女だ。
「あ、ごめんなさい。ぶつかっちゃった、大丈夫?」
しんべヱだ。やばい、リアルしんべヱだ!
そりゃぶつかられて痛いはずだわ。
同い年とは思えないその……体格の良さ。オブラートに包んでます。
「はい、大丈夫です。こちらこそ、避けきれずにすみません」
「ごめんねえ、ボク、お腹すいてて……あ、おばさん、お団子30本!」
流石しんべヱ、と私は苦笑いしてしまう。大食いだなあ。
……いけない、微笑ましげに見てる場合じゃない。死活問題が迫ってる。
「お客様はお一人ですか?」
「ううん、あのね、乱太郎ときり丸が……あれ、二人ともいない? もーどこ行っちゃったの!」
やっぱなー、乱太郎ときり丸もいるよなあー!
絶対そうだと思った。御三家は常に一緒に行動してるから!
これはまずい。非常にまずい。当てが外れた。というか楽観視し過ぎてた。
「おばさん、私お団子作るの手伝いましょうか?」
「大丈夫よ、30本ぐらいすぐ作れるわ」
「じゃあ私お水汲んできますね」
「助かるわ、お願いね」
私はそう言って、新調した桶(山賊事件の時に私が落として壊してまった為)を担いで外へ出る。
そこで入ってくるきり丸や乱太郎とすれ違う。
私はしれっと顔を背けて、団子屋を出る。
あっぶねー! セーフセーフ!
なんつータイミング。そんなスリル要らない。
私はスリルもサスペンスも求めてないのだ。そういうのはぜーんぶ、伏木蔵にあげちゃう。
「……あれ、どうしたのきりちゃん?」
「……悪い、ちょっと席外す!」
「ちょっときり丸!?」
後ろからそんな会話が聞こえた。
ビックリする。
え、なになになに、なんできり丸?
え、ちょ乱太郎止めてよ。
こっち来る?
いやいやまさかそんな馬鹿な。
後ろを振り返りたいが、振り返ると見つかる可能性があるので迂闊に動けない。
「あの!」
やばい、まずい。きり丸に、声をかけられた。
私か? 振り返った。目が合う。私だった。どうして。
忘れててくれ。頼むから。
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スイちゃんのご友人のご友人 - 完結おめでとです!🎉 (2023年2月2日 3時) (レス) @page45 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - あふ、夢主ときりちゃん尊い三c⌒っ.ω.)っ シューッ末永く爆発してほしいですね!(いい意味で) (2023年2月2日 3時) (レス) @page45 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 完結おめでとうございます! 続編に気付かなくて見るの遅くなってしまいました。いっちゃんの考え方が少し改まってきて本当に良かったです。そしていっちゃん(その他のキャラも)めちゃくちゃ可愛い……! 素敵な作品をありがとうございました! (2022年9月15日 18時) (レス) @page45 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
pinatu(プロフ) - 完結おめでとうございます まだまだ続くかなと思ってたんですけどキレイに終わったので見やすくて好きです。面白かった! (2022年8月3日 23時) (レス) @page45 id: 6584cbaedd (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 完結おめでとうございます!!!ほんとに面白くて大好きな作品なのでずっと読み返します…🥲 (2022年8月2日 12時) (レス) @page45 id: 554af904d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあじ | 作成日時:2022年7月2日 17時