【忍たま夢】きり丸の為に死ねるなら悔いはない2

巣篭もり生活3 ページ35

「前、城主様じゃなくて弟君だった頃の話なんですけど、あの人実は、お兄ちゃん気質なんですよ。女中やってた私をよく甘やかしてくれました。平和主義者とか温厚な性格って言葉がよく似合う朗らかな人でしたよ。あ、今もですかね？ 最近はあの人の苦しそうな顔しか見てないので、今の私にはちょっと分からないんですけど」
「……」

無視。でも私はめげない気にしない。
人と喋る機会に飢えてるのだ。このぐらい許せ。

「もっと楽しげにすればいいのに、って思いません？ 多分ですけどあの人、戦争したり権力見せたりって事柄が苦手なんですよ。前の城主様の方が得意だったと思います。
多分、私を閉じ込めてるのも、何かしらの利益が見込めるから仕方なくやってるのであって、あの人がやりたいことではないと思うんです。本当は望んでない事だけれど、城主だからやらなきゃいけない。そういう責任が付き纏う立場に、私が追いやってしまったので……少し責任を感じてます。きっとやさしいあの人は、そういうのも辛いんだろうな……。

けれど、所詮は他人事なので。私にはどうにもなりませんね」
「……」
「あっ、もし貴方が城主様を慕っているなら、少し気にかけてあげると救われますよ、きっと。アッなんなら、私を殺して仕舞えばあの人も救われるんじゃないですかね？ そもそもの元凶が居なくなれば万事解決ですから」
「……」
「…………。

ぁあそうか。また私のせいか」

私が下手に知識を持っていたから、あの人はやりたくなくても、「城主として」私を閉じ込めざるを得なかった。
当然だ。
味方ならまだしも、敵に渡られたらたまったもんじゃない。
私がいなければ、あの人があんな苦しむ必要はなかったのだ。

私があの時、摂津のあの村で、ちゃんと燃え尽きていれば良かったのだ。

そうすればきり丸にあかい悲劇を思い出させてしまう心配をする必要もなく、原作通りの幸せを享受させられたはずなのだ。
……はーあ、要らんことばっか気付いてしまう。

こういう時は責任転嫁だえーい！
全部頭領のせいにしちゃえ！！
頭領、アンタが勝手に救った命のせいで私は苦しんでます。頭領に救われた小娘は他人を苦しめております。
つくづく人を苦しませることしかしませんねあなた？？

ほんと、どうして助けてくれたの。私には貴方がわからないよ。
ねえ頭領。会えたら教えてくれるのかな。

……うわだめだ病みそう。やめよこの話。

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