ざっとこんなもん2 ページ22
「……君も火傷したの?」
「ああ、はい。しましたよ。そのせいで手っ取り早くお金が稼げなくなりました。生き辛い世の中ですね」
私はおどけて肩をすくめてみせる。
「春を売るのは最後の手段にね」
「最後の手段が使えなくなってるのが問題なんですよ……」
非常に残念だ。女児の身体は一定層に需要がありそうなんだけど。
「でも、お気遣いありがとうございます。……ところでどうして私は忍者だと思われたんですか?」
「戦について、あんまり熱心に聞き込んでたからね」
やっぱそれかあ〜。
「……紛らわしい事をしてすみませんでした」
「戦に興味があるの?」
この質問、どう答えよう。
戦に興味がある訳じゃない。焼き討ちに興味がある。
この領主に復讐することが、私の両親への手向けにはならないだろうか。
ここの領主をやっつける事で、私は私を許せるようになるんじゃないか。両親を見捨てて逃げた私だけど、ちゃんと村が大好きだったって証明になるんじゃないだろうか。
「……復讐、しようかなーと」
復讐だ。
自然災害的なアレとか、漫画の中の出来事とか、悠長にそんな事思ってるんじゃないぞ私。ちゃんと現実に起こった人災なんだぞ。
復讐だ。
ちゃんと、故郷を奪った奴らを恨んでますよってアピール。お母さんやお父さんを、村の皆を好きだったんだよっていう証明。
復讐しよう。今決めた。私は、復讐するぞ。
「復讐? 君が?」
「はい」
なんで、と言いたげな目線に答えて、私は生い立ちを説明する。
「実は私、摂津の生き残りでして。城主に恨みがあるんです。なので、城主を失脚させます」
「君が?」
もう一度雑渡さんが尋ねてくる。
「はい」
「君が?」
「……なんですか、私には出来ないとでも言いたいんですか」
「うん」
失礼な人だ。
「まあ、出来なくてもいいんですよ。できなかったらできなかったで。また次のやり方を考えれば良いんです」
大切なのは、復讐するというポーズだ。
私が両親を、故郷を、愛してたっていう証明。
……そんな証明のために復讐されるなんて、城主様はたまったもんじゃないよね。
私は密かに同情した。
やらないはダメだけど、やって出来なかったらしょうがないのだ。
「そんな考えなら、一生かかっても何もできないと思うケド」
うっ、厳しい。意外と毒舌だ。
「ふぅん、まあいいよ。協力してあげても」
「えっ」
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スイちゃんのご友人のご友人 - 完結おめでとです!🎉 (2023年2月2日 3時) (レス) @page45 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - あふ、夢主ときりちゃん尊い三c⌒っ.ω.)っ シューッ末永く爆発してほしいですね!(いい意味で) (2023年2月2日 3時) (レス) @page45 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 完結おめでとうございます! 続編に気付かなくて見るの遅くなってしまいました。いっちゃんの考え方が少し改まってきて本当に良かったです。そしていっちゃん(その他のキャラも)めちゃくちゃ可愛い……! 素敵な作品をありがとうございました! (2022年9月15日 18時) (レス) @page45 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
pinatu(プロフ) - 完結おめでとうございます まだまだ続くかなと思ってたんですけどキレイに終わったので見やすくて好きです。面白かった! (2022年8月3日 23時) (レス) @page45 id: 6584cbaedd (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 完結おめでとうございます!!!ほんとに面白くて大好きな作品なのでずっと読み返します…🥲 (2022年8月2日 12時) (レス) @page45 id: 554af904d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあじ | 作成日時:2022年7月2日 17時