【織り留め】誰も知らぬ献身を誰が知る ページ8
無駄、じゃない。
私は織田作になる為に努力してきて、不完全だろうと、『私は織田作』なんだ。
ーーそうやって、いつまで逃げる?
「逃げて、なんか」
思わず口から零れ落ちる。
逃げてなんかない!! 私は! ただ、守ろうと。
ーーそれが逃げだと言っている。
ーー折角、織田作を助けれるかもしれないチャンスを貰ったのに、それを棒に振るうの?
それ、は……
ーーー織田作を助けれるのは私だけなんだよ。どうか、それを解って
私だって助けたいさ。だって心の底じゃいつも願ってる。助けてくださいって。
でも、どうしようもないじゃないか。
穢したくない、殺したくない、死なせたくない。
ーーー「死にたく、ない」
死にたくない、例え私は織田作で、織田作なら死ぬべきであろうとわかっていても、希望は捨てたくない。未来へ歩きたい。生きたい、いきたい、行きたい!
ーーじゃあ、精一杯足掻いて、生きなさいよ。格好悪く、惨めでも、それが
助けを求めても、いいのか
救いを望んでもいいのか
未来を描いていいのか?
織田作之助が紡げなかった未来を、私なら紡げれる。
織田作之助が叶えれなかった夢を、私なら叶えれる。
だが、私は織田作で、それをやる事はタブーなのだと。
ーー私『は』織田作だ。私『が』織田作之助だ!!
私が織田作之助だ。織田作之助の人生は、即ち私の人生だ。
織田作の人生が私の人生になるんじゃなくって。
私の人生が織田作の人生になればいいんだ!!
ああ、こんな簡単な事に何を躊躇っていたのだろう!
私は織田作になった。不完全だろうと、完璧じゃなかろうと、なったものはなったんだ。
ならば。
さあ、待っていて、織田作。
今から貴方を助けます。
貴方の人生だから、私の人生だから、ちょこっとぐらい融通利かせてもいいじゃない。
未来が見えた。
この生を受けて初めて見る、希望の光だ。
その細い糸を私は辿る。一縷の望みを託して、必死に這いずり廻って、泥臭くなっても構わない。
それが織田作に対する私の献身。
前は織田作の軌跡を守る事が献身だったけど。
今は、織田作の命を護る事にします。
どちらも私が勝手にやったお節介に過ぎないだろう。自己満足だ。
それでもいい。自己満足で十分だ。
この献身は誰も知らない。
215人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠 - 凄い文章力の羅列…裏山しいたけ(古い)何なんだ !あなたは !天才か! ?文豪じゃないのk(( はい。これからもどうか、頑張っていってください !更新を心待ちにしております!!! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 72fefee69b (このIDを非表示/違反報告)
らい - 面白い........!これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年8月9日 2時) (レス) id: 3b0d55ccc1 (このIDを非表示/違反報告)
チューリップ - 織田さんの成り代わりある様でないですよねぇ〜。更新待ってまーす (2019年4月4日 1時) (レス) id: 8fad14733d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい! (2018年12月3日 15時) (レス) id: 81fb36e344 (このIDを非表示/違反報告)
世桜 - 凄く面白くて、一気読みしました!!細かな心情が描かれていて、続きが気になります。更新心待ちにしています。頑張って下さい! (2017年4月10日 0時) (レス) id: f27162b486 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まあじ | 作成日時:2016年6月12日 11時