シャチとイルカの共演5 ページ41
太宰との電話の直ぐあとに、国木田から連絡があった。
探偵社が狙われたらしい。幸いにも与謝野さんが探偵社内にいた為なんとかなったが、事務員にも危害が加えられたとの事だった。
『出社しろ。お前が狙われてるのならば、探偵社にいた方が安全だ』と国木田に言われたのを断ると、国木田は食い下がるそぶりもなく、心配そうに『そうか、気を付けろよ』とそれだけ言い残し、慌ただしく電話は切られた。
私は下唇を食んだ。
私のせいだ。私のせいで被害がどんどん広がっている。
というか、すごいなミミック。ポートマフィアに加えて探偵社まで敵に回そうとは……死ぬ気か? いや、死ぬ気なのか。
私は子供達を守りたい。織田作の命を助けたい。助けられないなら、私がこの世界に来た意味はない。
私の願いは、たったそれだけなのに。傲慢なのかな。
原作を変える、死んだ人を助けようとすることは、そんなに困難なことなのか。……困難なことなんだろうな。
私はしばらく休暇を取り、子供達に「なんで織田作仕事しないの?」とピュアな目で責められつつも、3日ほどずっと一緒にいた。
突然、脳裏に映像がよぎる。異能力による映像だ。
つまり、未来の出来事。
爆発だった。子供達も、私も、親爺も全員を巻き込む爆発。
そこで映像は途切れた。全員死ぬのか?
いや、まさか。死なせはしない。
迷ってる暇はない。
私は子供達に窓から外へ飛ぶように指示した。
子供たちは素直に従い、飛び降りる。彼らなら受け身ぐらいなら取れるだろう。
私はすぐさま一階に降りて、親爺に声を掛ける。
「親爺、今すぐ外へ!」
「なんだい、織田作ちゃん」
「早く!」
親爺を連れ出した直後、店が爆発して跡形もなく吹き飛んだ。俺と親爺は爆風に押されて転がる。
熱い。飛ばされた衝撃で呼吸も苦しい。
だが、生きている。
「親爺、無事か」
「ああ、店が……! まだローン残ってたのに」
「大丈夫そうだな」
私はふらつく足をなんとか立たせて、子供達の元へ向かう。
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翡翠 - 凄い文章力の羅列…裏山しいたけ(古い)何なんだ !あなたは !天才か! ?文豪じゃないのk(( はい。これからもどうか、頑張っていってください !更新を心待ちにしております!!! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 72fefee69b (このIDを非表示/違反報告)
らい - 面白い........!これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年8月9日 2時) (レス) id: 3b0d55ccc1 (このIDを非表示/違反報告)
チューリップ - 織田さんの成り代わりある様でないですよねぇ〜。更新待ってまーす (2019年4月4日 1時) (レス) id: 8fad14733d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい! (2018年12月3日 15時) (レス) id: 81fb36e344 (このIDを非表示/違反報告)
世桜 - 凄く面白くて、一気読みしました!!細かな心情が描かれていて、続きが気になります。更新心待ちにしています。頑張って下さい! (2017年4月10日 0時) (レス) id: f27162b486 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあじ | 作成日時:2016年6月12日 11時