はじめてになりたかった / zm ページ10
．
「なぁ、A」
その問いかけに、Aは答えなかった。
正しく言うならば、答えられなかった。
俺の指がぐっとAの細い首に食い込む。
それが気管を狭めて、Aの口からだらしなく涎が垂れて、空気が細い気管を出入りする音が微かに部屋に響いた。
俺とAは相思相愛で、ずっと一緒にいる関係で。
でも俺ら人間は命に限りがある。
いつ死ぬかなんて誰にも分からない。
その間に俺は、Aのいちばんに、はじめてに、何回なれるんだろう。
彼女の彼氏は俺だけではない。
彼女の膜を破ったのも俺じゃない。
…はじめて、が足りない。足りなくて、足りなくて。
彼女の中で俺が消えてしまう気がした。
彼女だって死んだら俺を忘れてしまう。
ねぇ、A。
だから。
「なぁA、俺に殺させて、な？」
「俺にAのはじめて、ちょーだい、」
緩く抑えていた手に力を加える。
骨が軋む音がした。
同時にベッドのスプリングも軋む。
Aの目から涙が一粒伝った。
うるりと潤んだ瞳が段々生気を失ってまどろむ。
俺の手に掛けられたこれまた細い手が、強く藻掻く。
口を大きく開いて、まるで何か食べ物を求める鳥の子供みたいに。
かわいい。
どんな姿だってかわいくて、美しい。
顔色が段々と変化していく。
そろそろ堕ちる様だ。
目が細められる。
人にひとつしかない死因が、死に際の視界が、全て全て。
俺。
死ぬ直前も俺の事考えてくれてたんやろうなぁ。
彼女の手の力が抜ける。
そして俺も力を緩める。
その瞳は俺を捉えていた。
その目には最後まで、俺が映っていた。
．
文才吹っ飛んでまして…
お堅い文章(最盛期は書記長が宗教ハマった話)が書けないですが
ヤンデレやっぱ最高やなぁ…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゆ(プロフ) - このシリーズ、本当に大好きです。もしまた更新される予定があるのであれば、楽しみにしています。 (2020年6月12日 0時) (
レス) id: 6c19e7d8ad (このIDを非表示/違反報告)
眠斗(プロフ) - さらさ様、今回もコメントありがとうございます！師匠だなんて照れちゃうなぁ(( これからものんびりにはなってしまいますが、自分の好きなヤンデレというものを更新していきますので是非見てやってくださいー！ (2019年12月26日 9時) (レス) id: 8b27b7e5ad (このIDを非表示/違反報告)
さらさ(プロフ) - 眠斗様、続編おめでとう御座います..！！流石は眠斗御師匠！←何時から弟子に。これからもお身体に障らぬ様、更新頑張ってください！(￣∇￣*)ゞ (2019年12月25日 23時) (レス) id: 48244b96b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：眠斗 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/a240fcc5d71/
作成日時：2019年12月20日 15時
