【 d! 】僕色の花束を君へ【短編集】 (ページ12)

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口実は優しく / osmn ページ12

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こんこん、と木製の扉をノックする。

その音は軽かったが、私の気持ちは緊張で溢れていた。
緊張で表情筋も固まってしまったようで、笑顔さえも不器用になってしまっていただろう。

ここはオスマンさん＿この国で一番有能な外交官様のお部屋である。

国の中枢機関に関わる上層部の人間の１人として、毎日文書と睨めっこ、ある日は他国と面談、ある時は甘味で腹を満たす。

彼はそんな忙しさをも自分を引き立てる材料として利用しているのだ。

何故か呼ばれた私は、この国で潜入捜査等を中心として働いている、言わば他国へ侵入するスパイなのだ。

幹部の皆様はフレンドリーな方が多く、まあまあ話したりする事はあったのだが、直々にお呼ばれする事なんて、仕事以外になかなか無いのだ。
仕事だろうと思っていたのだが、約束を取り付けた後にただのプライベートの交流めうと言われ、妙に汗をかいてしまった。

扉の奥からオスマンさんのはぁい、という間延びした声が聞こえ、数秒経ってノックした扉が開いた。

そこには、何時もと変わらぬ彼がいた。

色白の肌、茶髪は美しく整えられ、深緑の瞳は此方を見つめる。軍服を身に纏う彼は私より数十センチは身長が高く、仕草や言葉のひとつひとつ、長い睫毛という女性らしさを打ち消すほど頼もしい男性らしさを感じた。

彼はにこりと笑って、よく来ためうと中へ招き入れてくれた。

その部屋はオスマンさんの香りが漂っていた。
その中に紅茶の香りも混ざって、嫌な気分にはならなかった。

椅子へ座れと促され、机の上のカップにオスマンさんの淹れた紅茶が注がれる。
とぽとぽ音を立てて、彼の髪色に似た紅茶が水面を輝かせている。

「マドレーヌもあるで」

『…頂きます』

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物によってはこれ純愛なのかしらヤンデレなのではと
ひしひし不安を感じております。
分けようと言ったのに最終的に混同しそう。
眠斗の十八番であるヤンデレについては暫しお待ちを。