56、前線 ページ18
Aside
「は、シャオロンが倒れたやって！？」
ロボロさんの声で、私は一気に目が覚めた。
襲い来る恐怖に、私は必死に体を抱きしめる。
「っ、わかった。エーミールに任せろ。しばらく前線シッマとゾムに頼むわ。」
インカムから聞こえる、任せておけ！の声すら遠い。
「くっそ、シャオロンがなんで…」
悔しそうなロボロさんの声に、私のどこかがプチリと切れる音がした。
生まれた国が、死ぬほど嫌いという心を、再び思い出したと言った方が近しいかもしれない。
「一旦落ち着いたから、ちょっとでも空気吸ってき？多分また、忙しくなるから」
先程の取り乱しが嘘のようにロボロさんが笑う。
きっと数々の戦争をこなしてきたから、仲間の怪我で取り乱していられないのだろう。
抜け出すチャンスは今しかないと思った。
『すぐ戻ります。』と嘘をついて、私は抜け出した。
音なく走り、目指す場所は武器庫だった。
大方目欲しそうな武器と弾を取り、私はふぅ、と一息つく。
ほんとうはこわかった。
ロボロさんのとなりで、しじをだしていたかった。
しかし、仲間が傷つけられたのなら直々に反撃をしないといけない。
その思いの方が強かった。
自分はどうなってもいい、から。
「行くんか？」
ふと人の声が聞こえ、急いで振り返ると兄さんがいた。
『内密に…』と笑えば、彼は「止めへんし言わへんよ」と私の頭を撫でる。
「でも、死んだら許さへんから」
彼の目が、鋭く光った。
必ず、生きて帰ってこい。
そう言っているような気がした。
『承知しました』
私は精一杯笑うと、窓から思い切って飛び出したのだった。
「あかんなぁ、一目惚れやんか。」
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杠葉 - 初めまして、とても素敵な作品でした…！占ツクの小説で初めて泣いてしまいました。これから全力で応援させて頂きます…！ (2022年1月22日 3時) (
レス) @page40 id: 2d4f53e34e (このIDを非表示/違反報告)
雲雀(プロフ) - ネイトさん» 了解です！リクエストありがとうございます！！ (2020年12月29日 4時) (レス) id: 4aed07b718 (このIDを非表示/違反報告)
ネイト - 雲雀さん» なるほど！ありがとうございます！リクエストが「帰った後にみんなに説教される」みたいな感じなのってお願い出来ますか？ (2020年12月29日 0時) (レス) id: 58c935ec98 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀(プロフ) - 月宮さん» 月宮さん、コメントありがとうございます！これからも精進して行きますゆえ、続編も楽しんでいただけると幸いです！ (2020年12月28日 20時) (レス) id: 4aed07b718 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 - 完結おめでとうございます！続編も楽しんで見させて頂きます！これからも頑張ってください。 (2020年12月28日 20時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雲雀 | 作成日時：2020年12月4日 2時
