多くを愛せよ、アドレセンス【w．r．w．r．d】 (ページ1)

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【ci】黄昏、君は笑うページ1

日暮れとは、ナイーブな気分になるものだ。

目の前の彼が楽しそうに笑いながら言うものだから、
私は思わず開いた口が閉じなくなってしまった。

あざとくて可愛い、クラスの女子がこぞって彼のことをそう言う。
あざとい、そこは私も理解が出来るが、可愛いとは少々理解し難い。

「なんでそんな表情コロコロ変えてんねん」
チーノは私の額にひとつデコピンをお見舞する。
加減を知らない男のデコピンだ。

『っづぅ……何してん………』
私が恨みがましく睨めば、「可愛くない顔やな。」と倍で煽られた。
可愛い？本当にコイツの事なのか？
クラスの女子の目は節穴過ぎでは無かろうか。

『可愛くない顔の私を放って帰ればええんとちゃうの？』別にこれは嫉妬でも何でもない。本音だ。

何故かココ最近こいつは私に構いたがる。
一緒に登下校したがるし、よく絡んでくる。

…いい迷惑だ、此方としてはずっと煽られているだけなのだ。

「もしかして、本当にバカ素直に捉えてん？ちょっろ、」は、なんて鼻で笑う彼。私が思わず机を叩いて立ち上がった時だった。

「…そういう所も可愛いと思うねんけどな？」

彼が、見せたことの無い顔で笑う。
思わず、私の動きが止まる。
その隙にと彼は私との距離を詰めてくる。
私の両腕を掴み、壁に私を追い詰めた。
身長差のせいで、私が彼を見上げる形になる。

「あー、可愛い。ほんっまに、俺を煽るの得意やなぁ？」
まるで犬を愛玩するような瞳。
その瞳に背徳感さえ覚えてしまいゾクリと背筋が粟立つ。

「んふふ、A好きやで？」

人懐こく笑った彼の笑顔は、案外可愛いもので。

…クラスの女子が言っていた事は、ある意味正しいのかもしれない。