21.含み笑い ページ21
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「ええっ、ちょっと佐藤さん.....すごい濡れてるけど大丈夫？！」
家の中に入ると真っ先に私を気付いた�眞呂気鵑�相当驚いたようで目を大きく見開く。
「傘忘れたんだって」
隣で傘を包んでいた京本さんが私の代わりにそう答えた。
「俺、大きいタオル持ってくる！今お風呂は沸かしてるから沸いたら佐藤さんが先に入りなよ」
「すみません、気を使っていただいて」
いいのいいの、ちょっと待っててね
って�眞呂気鵑�ドタバタしながらタオルを取りに行ってくれる。
なんだか申し訳ない。
私は結局、色んな人に迷惑かけちゃってるな。
「もう平気なの？」
「え？」
「......カミナリ」
ああ、そうだ。
京本さんにもタオル借りちゃってたんだ。
「はい、もう大丈夫です。ありがとうございます！タオルは洗って返しますね」
「そっか、ありがと」
お礼を言われるのが恥ずかしいのか顔を少し俯けながら口角をあげて微笑んだ。
その微笑む京本さんの横顔があまりにも綺麗で儚くてずっと見ていたいと思ってしまった。
彼は思っていたより優しい人なのかな。
最初は見た目の印象でなんか取っ付きにくそうだと思ってしまっていたけど。
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「あれ...Aちゃんと大我？なんで一緒？！」
「あ、ジェシーくんだ」
何故かコップを持って階段から降りてきた彼は私と京本さんを交互に見てから視線を私の方へ移すと、
「どうしたの、Aちゃん濡れすぎじゃない？」って心配そうに駆け寄ってきた。
「傘、忘れてしまって...でも途中で京本さんに会って入れてもらえたので大丈夫ですよ！」
「...へぇー大我が女の子にそういう事するなんて珍しい」
意味深な顔で含み笑いを浮かべるジェシーくん。
「俺、女の子には優しいよ」
紳士だし、
京本さんはジェシーくんを軽く睨み付けるようにそう言うとリビングの方へ入っていった。
ピリッとした空気。
それがこっちにまで伝わってきたけどあえて何も言わなかった。
いや、言えなかったが正しいのかも。
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作者名：つくね
| 作成日時：2021年5月26日 15時
