18.雨の日の帰り道 ページ18
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会社のビルの自動ドアを出ると
外は薄暗く、地面を打ち付けるような激しい雨になっていた。
「うわ最悪....」
いつも見ているはずの天気予報を今日に限ってちゃんと見ていなかったから家に傘を忘れてしまった。
近くのコンビニでビニール傘を買うか。
そう思いながら鞄の中を探ると財布が無いことに気付いて絶望する。
急いで準備していたから財布も入れ忘れてた。
なんてこった....。
遠くの方でゴロゴロと雷の音が聞こえてきた。
ああ、やだな。
幼い頃から雷は苦手。
何が苦手かと聞かれたらあの強烈に耳に残る音。
地震が来る時になる警報の時ような胸がドキっと刺激されるあの感じが苦手。
それでよく怖くて泣いてたらその度にお母さんは私の事を抱き締めてくれてた。
そんな幼き記憶がふつふつと蘇ってくる。
ああ、どうしよう.....
雨が止むの待つしかないかな？
って思ったんだけどここから家まで
歩いて帰れる距離だから全然苦痛じゃないんだよなぁ。
携帯でこの後の1時間ごとの天気を調べてみると、雨は夜まで降り続くらしい。
仕方がない、諦めて帰るか。
その場で立ち止まっていた足を再び動かし始めると
顔に冷たい雨水が滴った。
この季節の雨は氷のように冷たい。
ザァーと流れる滝のような雨。
びしょ濡れ覚悟で走って帰ろう。
周りにいる人達から冷めたような視線を感じていたけどそんなの気にしてられなかった。
いい大人が傘を差さずに走ってるなんて
確かにおかしい人だけど。
それより雷が近くなる前に早く帰らなきゃ、
そんな気持ちの方が大きかった私は思うがまま走った。
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作者名：つくね
| 作成日時：2021年5月26日 15時
