第131話 byラファエル ページ42
「本…アルさんからもらった…?」
「はい。“パートナーにはたくさんの口付けを”と書いてありました」
大真面目な顔で伝えるRAVENと、未だに肩を抱かれたままのラファエル。
空いていた窓からラファエル達の様子を見に来た近接攻撃部隊の2人__1番勘違いしやすい2人__が、1番勘違いされやすい場面を目撃したのである。
「なあRAVEN…そのアルさんにもらった本の題名…覚えてるか?」
「はい、勿論です。父から頂いた物ですから」
「題名をどうぞ」
「『心理学が語るラブラブカップル長続きの秘訣♡』です」
さあズッコケ給え、少女2人。
「このシート、本革だね」
「そうですね…革の良い香りがします」
フローレンツィアの国旗が掲げられたその黒い車に乗るラファエルとRAVEN。
他愛も無い会話はヘンメルまでの道程を紡ぐのに十分で、ヘンメル国軍の軍服を着た人々が並ぶ招待宴会場であろう城が近付く。
他の国も着々と到着しているようで、同じ様に母国の国旗を掲げた車が視界に増える。
ウィルは、クロとナガンを含めた優秀なサンレーム軍が助けてくれる。私達は飽く迄陽動。上層部と思われる人を1人。やってしまえばいい。私達の総統をあんな目に遭わせてくれたお礼を。
栄養失調は、つらい。お腹が空いて、元気が出なくて、心さえ折れてしまいそうになる。
脱水も辛い。喉が渇いて、視界もきっとぼやける。
喘鳴だって苦しい。咳が出て、呼吸をする度に自分の命が削られる気がして、呼吸をする度に鼓膜に触れるその悍ましい音で、もっと苦しくなる。
…経験したことのある苦しさは、誰にだって経験させたくない。
「ラフ」
RAVENの声で我に返る。隣を見ると、笑みを浮かべた優しい深緑色の瞳。
「着きましたよ」
「…うん」
「私がいます。貴方は強い人。何も臆する必要はありません」
「…臆してない」
「なら、大丈夫です。行きますよ」
彼の言葉と同時に、後部座席のドアが開く。フローレンツィアの人間である運転手の彼も、笑みを浮かべて小さく声を綴った。
「自分達のリーダーは…Duxアニアは、間違えません」
「…ありがとう」
RAVENの右手にエスコートされるその左手は、彼女は。
「フローレンツィア代表、ラファエル・イヴ・アルベルトと申します」
「同じくフローレンツィア代表、レイブン・コンフォルトと申します。この度は誠に、おめでとうございます」
迎撃、開始。
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時空のラテ(プロフ) - 皆様お久しぶりです。ようやく更新です。 (6月10日 14時) (レス) @page46 id: 12bfae36c2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉@低浮上 - 梅雨瑠さん» こちらも…!ありがとうございます! (2020年10月18日 20時) (レス) id: 91c6fa7187 (このIDを非表示/違反報告)
梅雨瑠 - 更新頑張ってくださいね!←読者 (2020年10月18日 9時) (レス) id: a2731c2f1a (このIDを非表示/違反報告)
らなこな@新しく始めました!(プロフ) - 臨海凛師さん» ふぁ!?読者様からのコメント...!読んでくれてありがとうございます! (2020年10月18日 8時) (レス) id: 6e36cc4795 (このIDを非表示/違反報告)
臨海凛師(プロフ) - 更新頑張ってください(読者) (2020年10月18日 6時) (レス) id: ad2c0a2c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンレーム国幹部一同 x他3人 | 作者ホームページ:無い。
作成日時:2020年1月10日 22時