ワケが１４個 ページ15
瞳｢...私“姫”じゃないですし、鞄なら自分で持てますから｣
やっぱり瞳は他の人とは違う。他の女子と違って鞄を持たせないところ、私結構好きだな。
｢じゃあ｣なんて言いながら礼をして歩き出す瞳を見てふと我に返った。
訂正、しとかなきゃな。
『瞳、“姫”っていうのは間違ってないんだ』
瞳、少し面倒そうな顔してるな。
でも、瞳があのことを知らないまま｢私姫じゃありません！｣なんて言いふらすなんてことをされたら面倒なことになるのはこっちだ。
私も面倒は嫌いだから。
奏｢あ〜、まだ説明してねぇことが結構あんのよ。ま、歩きながら話そうじゃねぇの｣
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。
とりあえずまず最初に瞳に伝えたのは伝え損ねた三鷹のルール。
トップ...つまり生徒会長である昴の恋人は“姫”と呼ばれ、三鷹の人には守られる存在であるということ。
あとは三鷹の“姫”になりたい人は少なくないため、毎年入学試験の女子の倍率はものすごい数になる。
そんな競争率の中で三鷹に入学したのにひょっこり転校してきた女が“姫”になって面白くないと思ってる女子は多数。
嫉妬の視線やらで歩くだけで睨まれる。しかも三鷹には敵が多い。ほら、紅明とか陽乃とかね...要は瞳に護衛は必要ってこと。
てなわけで送迎係の綾が護衛として送り迎えをし、生徒会外では私が護衛をするということを伝えた。
...カナ兄がね？
私はただ相槌をうって2人と並んで歩いてただけ。
奏｢＿＿っと、言いたいことはこれだけ。よ〜しA、教室まで嬢をちゃんと連れてけよ〜｣
『はぁーい』
私はきっと生徒会室に行くのであろうカナ兄の背中を見送ってから瞳へと体を向かせた。
『さて、教室に行こっか』
瞳｢...えぇ｣
教室の中に入ると自分の席へとスタスタと歩いていく瞳。
一人の時間を過ごそうと思ったのかな？
でもなぁ、私が瞳の斜め前で優斗が瞳の前だからな、必然的に一人の時間はとれないと思うよ？
ため息をこぼした瞳を見て、あぁ、凄く怠そう...と少し同情する。
カナ兄のあの緩い喋り方は瞳には倦怠感が凄いんだろうな。
あの喋り方が好きって言う女子もまぁいるんだけど。
瞳がまた重いため息をこぼした時、瞳の前に赤い髪...優斗が立ったのが見えた。
優斗｢おはよぉー、Aちゃん、瞳ちゃん｣
瞳｢...おはよう、吉良優斗｣
『おはよ』
頬杖をついたまま挨拶をする瞳を見てから私も続けて挨拶をする。
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作者名：小林 | 作成日時：2018年10月20日 14時
