呪いの王の最愛の花嫁【両面宿儺】

拾玖話 ページ22

襖の間から朝日が差し込み
俺の顔を照らす
それの眩しさに目が覚める

目を開けると結が
気持ちよさそうに眠っている

宿｢おはよう。結｣

結の頬に手を当てると
結は幸せそうに微笑むと
俺の手に頬を擦り合わせる

そして、ゆっくりと手を開けては
俺の方に顔を近づけ頬に唇を落とす

貴｢おはようございます。…宿儺様｣

少し恥ずかしく感じたのか結は
俺の体に顔を疼くめ
顔を見えないように隠す

…なんだ。この生き物は
どんだけ、いたわしいのだ

宿｢結。顔を上げろ｣

貴｢…嫌です｣

宿｢貴様に拒否権があると思っておるのか｣

そう言うと、結は
ゆっくり顔を上げては、またすぐに隠す
その顔は、やはり真っ赤であった

ふはっ、と笑みが零れた俺に対し
結はまたもう一度顔を上げ
俺と同じように笑みをこぼす

宿｢体の方は大丈夫か？｣

俺は、視線を下の方に向け
結の腹をゆっくりと撫でる

俺の術式を刻み込み子を孕らせるといった
危ない方法で結を無理させた

だが、それと同時に
こんな俺でも受け入れてくれるという
嬉しいという感情が込み上げてきてしまった

貴｢えぇ、大丈夫ですよ｣

結は俺の手の上から自分の手を重ね
静かに何かを聞いてるようだ

貴｢宿儺様。聞こえますか…？
ここに、私と流れている脈とは、違う鼓動の音が…｣

俺はそれに驚き、体を起こしては
結を膝の上に座らせ、腕の血管に手を当て
結の腹に耳を寄せる

宿｢…飽きらかに脈の動きが変だな｣

結の腕の脈と腹の脈の動きが違う
これは誰が聞いても分かるほどだ
つまり…。

貴｢この中に私と宿儺様の子がいらっしゃるんですね｣

結の顔は、凛としていて
幸せそうな笑みを浮かべては
俺の手を優しく握る

宿｢あぁ、まさか本当に子が出来てしまうなんてな…｣

貴｢嫌ですか？｣

宿｢その逆に決まってるであろう｣

俺は、また笑みを浮かべては
結を抱き寄せて
結との体温を感じる

宿｢こんな俺を受け入れてくれる奴など
存在しないと思っていた
だが、お前はそんな俺を迷う事などなく
俺自身を愛してくれたんだ
…ありがとう。結｣

結は、抱き寄せた俺の背中に
ゆっくりと手を回しては
優しく背中をさする

貴｢……愛しています。宿儺様
たとえ、この先どんなことがあったとしても
私は貴方を愛しています｣

その言葉と同時に俺の目からは1粒の涙が零れていた

宿｢あぁ、俺も愛しているぞ。結｣

俺は結に深い接吻を落とした

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