4.苦い紅茶 ページ4
西暦2098年
あれから約半年。私はノーベル様の助手として働いている。と言っても、掃除をしたり、ご飯を作ったり、偶にケーキを食べたり。家政婦というかメイドというか。まぁ、とにかくのんびりと暮らしていた。もはやニートと化していた。
私の家事の腕はノーベル様も認めて下さっているし、そろそろ資金確保のため外で働くことにした。いつまでも養われている訳にはいかない。
しかし闇マスターに造られた私が表だって働ける場所とは…。WGによって造られていないアンドロイドが働く際には、経歴を洗いざらい暴かれるし、
『ぅーん……』
どうしたものか。
「お困りのようだね」
『ギャァッ!!』
私の背後にはいつの間にかノーベル様がいた。
『びっくりしました…。』
「はは、驚かせてしまってすまない。そろそろ紅茶を淹れてラボまで持ってきてくれ。」
『…………はい、承知しました』
もうそんな時間だったのか。返事はしたものの紅茶をいれたくはなかった。だって…私が淹れる紅茶は美味しくないから!!
レシピ通りにやっても、色んな茶葉を試しても味がイマイチ!苦い!何故ッ!
細心の注意を払い、お湯を沸かし、ティーポットを温めてから茶葉を入れる。そしてお湯を注いだ。少々、温度を覚まし、また苦味を出すため1、2分放置しその後トレーに起きラボまでお持ちした。
『…紅茶をお持ちしました。』
「ああ、ありがとう。君も一緒に飲んでくれるかい?美味しいマカロンを用意したんだ。」
テーブルの上には人気店のロゴが印字された箱が。私が来てからノーベル様は色んなものを食べさせてくれる。
『ありがたくいただきます。』
席につき、ティーカップに紅茶を注いで一口飲んだ。
『……苦い、苦すぎる。』
もはやコーヒーの苦さだった。急いでマカロンを口に含んだ。甘くてサクサクしていてほのかに香るバニラが、苦さに疲れた味覚センサーにちょうど良かった。けれどもノーベル様は顔色一つ変えずにお召し上がりになられている。
『何故私の美味しくない紅茶をご所望なさるのですか?こんなクオリティならまだティーバッグの方がお利口ですよ。』
「ふふっ、いいんだよ。これで。」
おかしな
「おや、ノーベル。ここに居ましたか。」
「ああ、ルゥマ」
『ルゥマ様!』
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作者名:ソプラノのマスク | 作成日時:2023年7月23日 16時