提出 ページ22
手術室のドアの前に立つ
深呼吸をして
フットスイッチに足を入れドアを開ける
続いてゴムサンダルに足を突っ込み
白衣のまま入口すぐ左手にある
手術室受付の扉を開ける
予定通り
花房が書類整理をしていた
世良の心臓が高鳴る
花房が顔を上げる
世良を認め、顔を赤らめる
世良がぶっきらぼうに言う
世良
手術予定の変更届けを提出しに来ました
花房
わざわざご苦労さまです
他人行儀なやり取りのあとで
花房が小声で言う
花房
あの、昨日はご馳走さまでした
世良
また誘うからね
花房が小さくうなずくのを見て
世良の周囲が急に明るくなった
背後から世良の首にぐるり、と腕が絡まってきた
渡海
よお、世良ちゃん
いつの間に美和ちゃんと仲良しになったんだ？
世良
そんなんじゃないです
世良は振り返らずに答える
渡海は笑って
世良が花房に手渡した紙を取り上げながら言う
渡海
責めちゃいないさ
男女交際大いに結構
それより美和ちゃん、自分のことばっかじゃなくて
先輩のコトも考えてあげないと
ネコちゃんは何とかならないの？
花房
それとなくお伝えしてあるんですが
渡海は花房を見る
それから大笑いする
渡海
本気にしたのか
心配するなよ
ネコちゃんが男に興味ないのはわかってるから
俺はただ、
世の中で昼寝が一番大事なことだと思ってる者同士ちょっと仲良くしたいなあ、と思っただけさ
世良に向かってウインクをする
渡海
その手の話ならクスリ屋に言えば
六本木まで往復のハイヤーを出してくれる
よかったら美和ちゃんも一緒に行こうか
世良先生と一緒にさ
世良と花房は一瞬、視線を交差させる
その時、背後から太い声が聞こえた
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作者名：帝
| 作成日時：2018年6月22日 13時
