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待ち合わせ ページ2
黄金の葉が舞い散る
駅前のイチョウ並木を
世良は軽やかに走っていた
ひんやりとした空気が心地よい
十月の晴れた日曜の朝
建て直されたばかりの駅舎には
ショッピングビルが組み込まれている
世良は駅のホームに駆け込む
待ち合わせをしていると思わしき男女が
たむろしていた
ある者は手持ち無沙汰に
ある者はしきりに腕時計を気にしながら
佇んでいた
──早すぎたかな
映画の開始時刻が十時三十分なので
約束は十時十五分という中途半端な時間にした
時計の針は十時ジャスト
さすがに十五分前はちょっと早いかな
苦笑いした世良が
桜宮駅の待ち合わせ場所のモニュメント
桜の乙女像に視線をなげかけたとき
その足元によく似た横顔を見つけた
世良は息をひそめて小柄な女性の背後から近づく
切り揃えた髪を微かに揺らしながら
うつむき加減で一心に本を読んでいる
女性の左後ろから腕を回して右肩をぽんと叩く
女性が本から顔を上げ右後ろを振り返る
誰もいないので一瞬怪訝そうな顔になる
世良は今度は左肩を叩く
くるりと一回転して
世良の顔を見つけた女性は笑顔になる
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作者名：帝
| 作成日時：2018年6月22日 13時
