月の巫女【番外編 ハロウィンの花嫁】

第21話 ページ21

美和子はこちらに目配せをし、通話をスピーカーモードにする

佐「…もしもし」

「松田に代われ」

佐「その前に千葉くんの声を聴かせてくれない？」

「松田に変わるのが先だ。グズグズしているとこの刑事の声は永遠に聞けなくなるぞ」

その言葉に美和子は私の前にスマホを置いた

貴『もしもし』

「これからしばらく言う通りに動いてもらう。すぐにミヤシタパーク前へ向かえ。また連絡する」

そして、電話は千葉さんに繋がることなく切れてしまった。

貴『さて、行くか』

桜「1課の方たちは面が割れている可能性があります。尾行には我々、公安の人間を使います。松田刑事以外は、離れたところでモニターで確認をお願いします」

そして、移動中、新一がチョンチョンと袖を引いてくる
大方変装に気が付いたんだろうが、今は聞いてあげるわけにはいかない
メールなどでのやり取りもできない
携帯なんて取り出そうものならすぐに違いがバレてしまう
そのため、私は美和子たちにバレないようにしーっと人差し指を刺して黙っているように釘を刺す
その様子に新一は呆れた顔をしながらも頷いた



桜「どうだ。不審な者の動きはないか」

耳にインカムに胸元には小型のマイクをつけ、私は1人でミヤシタパークへ向かって歩いていた
景光たちはワゴン車でカメラの確認、ミヤシタパーク付近には数人だがの公安の警察もいる
正直、皆顔馴染みだ
ワゴン車にはもちろん新一の姿もあり、後ろでこっそりと映像を確認していた

ミヤシタパークに到着して少し経った頃、三方から「Trick or Treat」と呟きながらカボチャの被り物を被った人が大勢現れ、私に向かって歩いてくる
そして、私を取り囲んだかと思うと、手に下げていたカゴに入っているお菓子をばら撒き始めた

ゲリラのイベント、あるいは許可されていないイベントなのか、事前にイベントがある話は聞いていなかったらしくインカムからは景光の混乱する声が聞こえてくる

貴『ヒロ。焦りこそ、最大のトラップだぜ？信用しろ。何があっても俺は大丈夫だ。』

桜「！ああ、分かってる」

私の言葉に、景光は冷静さを取り戻したようだ
その直後、背中に硬いものが当てられる

貴(！これは拳銃…！)

それと同時にインカムは取られ、カボチャの被り物と黒いマントをつけられ、歩くように指示される
私は背後の人物の言葉に従って、歩き続けた

そしてたどり着いたのは地下貯水槽
そこにはカボチャの被り物に黒いマントをした大勢の人々がいた

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