16！ ページ17
「よくやった、お前たち！助かったぜ！
あとは自分の責務を全うしろ！」
一瞬だけ振り向いて、登り迫るバルハラの奴らを落とすついでに、指示を出す。
隊員たちは当然だと言わんばかりのドヤ顔で右手を拳握って了解の合図をこっちに送ると、すぐにまた動き出した。
上へ、上へ。
たまに雑魚を落として。また上へ。
登っているうちに気づく。さっきよりも登ってくるバルハラのやつが少ない。
そして今俺はフリーだ。おかしい。さっきまであんなにうじゃうじゃいたはずなのに。
最後の車に手をかけ上半身を引き上げた瞬間、
「遅かったな。A」
「お前こそ、新参者のくせしていいとこ取りなんていい性格してんじゃねぇか。稀咲！」
色黒の、分厚いメガネの奥にとんでもないものを隠し持ってるインテリヤンキーが、俺を見下していた。
稀咲は俺の皮肉をシカトしながらも俺を車上へ引っ張り上げた。
どうやら応急処置の邪魔をするつもりはないらしい。
が、最初っから戦闘に参加しないでマイキーのピンチにだけ現れるこいつはやっぱり気に食わない。
突き落としてやろうか。この。
腑はぐつぐつしてるが、こいつよりマイキーの方が大事だから、ひとまずマイキーに向き合う。
脈、呼吸は共に安定してる。
止血のためにガーゼをややきつめに押し当てるが、触った感じ頭蓋骨折れたりはしてねぇな。
「マイキー！マイキー！俺だ。
Aだ、わかるか？」
脳震盪とか起こしたらやだから、頬を軽く叩いて呼びかける。なんか下が騒がしいが。
「ん"ッ …………いってぇ…A？」
射干玉の黒が開いた瞼から俺を見つめる。
良かった、気づいて。
「ここがどこで、今まで何してたか言えるか？」
そう問うと、マイキーは表情をキッと引き締めて答えた。
「俺たちは今廃車工場でバルハラの奴らとやり合ってる。場地を取り戻すためにな。
ありがとA。でももう俺は大丈夫。」
よかった。
とにかく良かった。
そこで油断したのがいけなかったんだ。
タケミッチの言葉を俺は
忘れていたんだ。
「場地くん！」
タケミッチの悲鳴で、俺の目はやっと場地を探し始めた。
虎ちゃんの不敵な笑みと、場地を2人ががりで止めようと試みるタケミッチと千冬。
タケミッチの顔はしまったと言わんばかりに焦りに歪んでいた。
そして思い出すタケミッチの警告。
あぁ、けーちゃん刺されたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 706人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
松茸ご飯 - 面白かった！続き書いて！ (6月18日 15時) (
レス) id: 280eb42424 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 受験頑張ってください！深夜さんの作品どれもとても面白いので更新再開する日を待ってますね！ (2021年10月25日 21時) (レス) @page32 id: 2b8458c6a1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜(プロフ) - 夢花さん» コメントありがとうございます！御影家の長男坊、気に入って頂けて何よりです！応援もありがとうございます！ (2021年10月16日 11時) (レス) id: 290b0aad53 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 初めまして!男主ってあんまり好きじゃなかったんですけど、御影くんは大好きです!!!これからも頑張ってください!!! (2021年10月16日 10時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
深夜(プロフ) - 抹茶あいすさん» いえいえ、楽しんで貰えるのはやっぱり嬉しーです！更新亀さんですが、頑張ります！ありがとう！ (2021年10月7日 19時) (レス) id: 290b0aad53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：深夜 | 作成日時：2021年9月18日 2時
