かのじょがのーとをもちあるくわけ。 2

ノート 55 ページ6

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【 澤村 】


この場にいた大半が、なんだなんだとその声の主を辿る。

烏野(俺たち)はわかるけど。


『ぇ、あ、えっと…、一旦、座って落ち着こう?』


笠原さんは若干視線を泳がせながら、立っている日向と月島に、ゆっくり、優しく声をかける。


「あ、笠原さん…」

「…はぁ」


その声に、二人は少しぎこちなく腰を下ろした。


『えと、ごめんなさい、いきなり…』

「いや！おれこそ！すみません…」


明らかに声のトーンが落ちた日向。

その姿を見た谷地さんは、どうしよう…！ってすごい焦ってるけど、笠原さんは違った。


『ゼリー、食べますか?』

「え？」


みんな、ポカン。

でも、俺たちの表情を読み取りづらい笠原さんは、そのまま辺りを見回して、にこやかに告げる。

…いや、違うな。
表情がわからない分、笠原さんは人の雰囲気に敏感で。
だからこの不思議な空気を察しつつも、明るく振る舞ってくれている。



『さっき仁花ちゃんと作ったんです! デザートにどうですか…?』

「…う、ん、食べる…」

『よかった…! 冷たいもの食べて、少し落ち着こう?』


待っててください、と彼女は冷蔵庫に向かった。

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