かのじょがのーとをもちあるくわけ。 2

ノート 93 ページ44

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【 笠原 】


せみさんが食堂を出たことを確認して、お皿洗いを再開する。

ジャアジャアと流れる水や、その水に流される泡を見ながら、ぼーっと考える。


──白鳥沢の人たちも、優しい人がたくさんだと。

もちろん、もちろん白鳥沢の人たち以外も全員優しい。
誰もわたしに文句を言わず、受け入れてくれている。


ただ、白鳥沢は、みんなが恐れる存在で。
雰囲気も相まって、何故かわたしも怖がってしまっていた。
故に、白鳥沢=怖いなんて方程式も勝手に作ってしまっていたし。

でも、すごく優しい人たちだった。
心の底からそう言える。

わたしって、実は人のことちゃんと知ろうとしてないのかな…。

関わったこともない人たちのことを、先入観だけで決めてはいけない。この合宿で学んだこと。


ふふ、と口角を上げると、水を止めた。
さっきまで大量のお皿でいっぱいだったここは、今は何もなくなって綺麗に。



「Aちゃんっ、お疲れさま！ありがとうございます！」

『あっ、仁花ちゃん! ふふ、綺麗になったねえ』

「ハイッ！！Aちゃんの手際が良くて…！」

『え、そうかな? ありがとう』



ご飯食べたばっかりだし、まだ練習は始めてないと思うから今タオルとビブス用意しちゃおうかと、二人で準備に向かった。

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