かのじょがのーとをもちあるくわけ。 2

ノート 84 ページ35

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【 笠原 】


仕事仕事…!と思いながら、間違ってコートに入らないように体育館の端を走る。

カゴを置いて、烏野のジャージを着た潔子先輩の隣へ。


試合、楽しみだね、と言った彼女は、わたしのこの思いや興奮に気づいているのだろう。

そして、きっと笑ってくれている。
心の底からやさしい、優しい先輩だから。


それから始まった試合。

白鳥沢が参加できるのは今日だけだから、本来の合宿校、対、白鳥沢が今日の基本の試合。

最初は、烏野。

対戦する順番は、主将同士のじゃんけんで決めたらしい。


ホイッスルの音とともに始まった試合。


試合中のかけ声や、ボールが叩きつけられ、弾かれ、そして繋がれる音の中できこえる





この場にいる人の、息を呑む音。





それから、熱気。



全てが、支えきれないくらい伝わってくる。





──ああ、みたい。




…見たい。


無理だとわかっていても、わたしにその空気も、熱気も音も伝えてくる人たちの顔を。




きっと、輝いているだろう目も。








──えがおも。





グッ、とジャージの襟元を握りしめた。

その手に落ちる──、汗。






わたし、バレーボールが。



バレーボールに一生懸命な人が。






たまらなく、すきだ。

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