奪われた、だから…【刀剣乱舞 × 文スト】

18話 ページ19

*



不知火は静かに歩いていた。


足音は聞こえず、殺気も覇気もない。


故に容易く侵入出来た。






と或る本丸に＿＿＿






本丸の審神者は、長く審神者をしている。


若い審神者が増え、其の審神者は天狗のようになった。


若い頃は、と新任の審神者に何度も話し、気に食わない事があれば直ぐに暴言を吐く。


然し、其れを誰かが止めたことは無い。


否、止めれないのだ。


審神者としての実力の差。


刀剣男士の力の差。


故に誰もが飲み込んでいた。


然し、と或る審神者は其の審神者に反論したのだ。



＿＿本当に努力し、頑張る人は、貴方の様な人ではない。



そう、面と向かって云ったのだ。


勿論、其の審神者は激怒した。


刀剣男士に命令し、審神者を切れ、と迄云った。


が、其れを簡単に許す刀剣男士は居ない。


自分の主を殺せ、と目の前で云われたのだ。


勿論の事、反撃をする。





＿＿力の差は歴然だった




其の審神者は悔しそうに、地に膝と手を付き顔を歪め何故だ、と繰り返す。


まるで、其の動作しか知らないかのように。


其の審神者を容易く勝利したのは、反論した審神者だった。


審神者は冷静に分析し、的確に指示を出す。


一方で其の審神者は力任せに命令をする。


圧倒的な冷静さ。


圧倒的な分析力。


圧倒的な信頼。


其れらは全て、其の審神者が持たないものだった。

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