ポートマフィアの女医には、秘密が或る様で【文スト】

拾肆 ページ15

太宰幹部は、部屋の中央で立っていた。



私が来たのが、判ったのか太宰幹部は口を開ける。





太宰「君は如何して幹部である私の命令に背いたんだい？」



『…私に忍耐力が無かっただけの事です。

其れ以外に理由は御座いません』



太宰「…随分と冷静だね？」



『そうでしょうか？

ですが…命令に背いた罰は受け入れるつもりです』





どんな感情であれ、私は幹部の命令に背いた。



其れは許される事じゃない。



でも、私は殺されない。



首領が、森医師がそうさせない。



だって、あの人は…真実を知っているから。



私と雨音の事を。



私が知らない事を雨音は知ってる。



でも、其れ以上に森医師は知ってる。



何とも恐ろしい人だ。





太宰「私を前にして考え事とは…随分と舐められたものだね」



『申し訳御座いません。

然し…私は死にませんから』



太宰「そうだね。

私は幹部だが、君は殺せない。

そう、首領からの命令だからね。

でも…もし、私が君のように命令に背いたら？」



『…其の時は貴方が死ぬでしょうね』



太宰「…云い切るんだね」



『其れが事実であり、変わらぬ事ですから』



太宰「そう」





太宰幹部は徐に銃を取り出した。



然して私に銃口を向ける。



太宰幹部は、流石幹部と云える。



無慈悲に私の腕や足を撃つ。



然も私が死なない所に。



嗚呼…痛い。



痛いなぁ…。



でも…まだ、善い方だよね。



芥川さんに比べれば。

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