その太陽に手が届きそう【煉獄 杏寿郎⠀】

67話 ページ19

カナエ「さぁ、Aちゃんのお話聞かせて？」


真剣な顔のカナエさんに見つめられて
反対側に目を向けると煉獄さんと宇髄さんとも目が合って、ゴクリと唾を飲み込んだ。



『カナエさん、手を握ってて貰えますか？』

カナエ「もちろんです。」

『よくある話ですよ？
ただ、好き同士結婚したはずだったのに･･･妊娠中に･･･もしかしたらその前からなのかもしれませんけど、不倫されてしまいまして。
義父にも良くしてもらっていたので産むまではと思っていたら、産む前に離婚されてしまいまして･･･認知、されませんでした。
それでもお金だけ取りに来てましたから･･･
でも子供は1度も抱き上げてはくれませんでした。
あなたの子供ですって言ったことはありますけど、それからよく暴力を振るわれるようになってしまって。
子供を背負ってフラフラ歩いているところを竈門ご夫婦に拾われたんです。･･･それで今に至ります。ね、よくある話です･･･』



そこまで話して顔を上げると、眉を下げ困ったような、悲しいような顔をしたカナエさんと目が合った。



カナエ「さっきの良いパパになりそうって･･･そういう事だったのね･･･ごめんなさい。辛い話を思い出させてしまったわね。」

『あ、･･･いいえ、私こそ･･･こんな話！カナエさん、不死川さんは大丈夫です。私の話なんて気にしないでください！！』



これから幸せになろうとしてる人に私の話なんてするじゃなかった。

どうしたらいいのかオロオロしていたら、ふわっと背中に温かなものが触れた。



煉獄「藤枝さん、話を聞かせてもらった。ここまでよく1人頑張ったな！」



煉獄さんの方に顔を向けると

春の温かな日差しのような柔らかな笑顔を浮かべていて

なぜだか、初めて、ここまで燈寿郎を育ててきたことを誇らしく思えて、鼻の奥にツーンときた。





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