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「あら、Aちゃん大きくなったわね。」
『お元気そうでなによりです、テニュー様。』
シルク素材のきっちりとしたパンツ姿でやってきたテニュー様は私の姿を見るやいなや、ハグをしてきて、額にキスを落とした。
ひええ、全てがナチュラルすぎてなにも返せない。
プチパニックな私を見かねて、センラが助け舟を出してくれた。
「テニュー様、どうぞこちらへ。」
「あぁ、今日はお邪魔する気はなくてね、ベルリアから聞いてないかい?今日は……」
「おねーちゃん、あそぼー!」
そう足元から声がして思わず見やると、私のドレスの裾を引っ張ってニコニコと笑う小さな男の子がいた。
目元の柔らかい感じはテニュー様そっくりだわ。
この子がテニュー様の御令孫。
「こら、カルヴァン!失礼でしょ。……ごめんなさいねAちゃん。」
『い、いえ…。』
自分には兄弟もいないし、ましてや年端もいかない子どもとは全く関わりがないから、少し戸惑ってしまう。すると、志麻がそっと出てきてその男の子を抱き抱えた。
「この方が本日お預かりする御令孫の方でしょうか?」
「ふふっ、そうよ。あともう2人いるんだけどその子たちは比較的大人しいから手はかからないとは思うわ。お願いできるかしら?」
『はい。了解しました。』
そう言えば志麻は弟さんいるんだった。通りで扱いが手馴れているわけだ。
なんて頭の中でぼけーっと考え始めていた。
「モア!トーマス!いらっしゃい!!」
テニュー様が手をポンポンと叩くと奥の馬車からこれまた小さな子どもが走り寄ってきた。女の子と男の子。手を繋いで、こちらを無垢な瞳で見てくる。双子なのかな、すごくそっくり。
「じゃああとはよろしくね?また終わったら迎えに来るわ。」
『承知致しました。いってらっしゃいませ。』
「ふふっ、頼りにしてるわ。」
裾を軽く持ち上げて、頭を下げると、テニュー様はにっこりと笑ってメイドたちを引連れて奥の方へ去っていった。馬車に乗り込み、颯爽とこの屋敷をあとにした。
……これ結構やばいのでは?
『ど、どうしよう!しま!私ちっちゃい子の扱いなんてわかんない!』
「まあなんとかなるで。…てかお嬢はそのままでええの。」
片手でカルヴァンくんを抱き、残ったでで私の頭を撫でる。ぐりぐりと強く撫でてくるから髪が少し崩れた。ちょっと私がムスッとするとははっと軽快に笑って髪を手で梳いてくれた。
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さくらいろ(プロフ) - over the rainさん» 応援ありがとうございました!長い間何も更新しておらずすみません…これからはちゃんと更新を続けていくつもりですのでまた見ていただけると幸いです! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - くらっかーさん» 応援ありがとうございました!ようやく受験が終わったのでこちらの活動の方も再開させていただきます! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - 舞花さん» 舞香さん、アカウント変えて気づかないかもしれませんが、リクエストの方了解致しました!私も後々やまだぬきちゃんは出演させる予定だったので参考にさせてもらいますね!ありがとうございます(*´˘`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 - 受験お互い頑張りましょう!また会いに来ます! (2020年1月1日 23時) (レス) id: 957c180cee (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 受験勉強大変ですよね!首を長くしてお待ちしてます! (2020年1月1日 9時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらいろ | 作成日時:2019年11月4日 0時