7.マンダリンの希い ページ17
♧side
お嬢様が寝入った後、俺たち4人は決まって一つの部屋に集まって話し合う時間がある。
俺らの数少ない休み時間で、唯一4人が大集合できる貴重な時間だったりする。
センラが4人分の紅茶の入ったティーカップを持ってきて、所定の位置へ座る。
「さて、今日は……。」
「なぁ、俺から1個ええ?」
俺がいつものように切り出そうとしたら、遮るように坂田が声を出した。
めずらしいな…。ここで話すのはお嬢に関してのことだけだ。4人で共有しておきたいことを話す場として俺らは使っている。
坂田はあまりこういう時に発言したりしない。独占欲が強いから“俺だけが知っている情報”が嬉しいんだとか。
まぁ、ここにいる全員がそう思ってることはあるけど。
「街の港で揉め事があるん知っとる?」
「あー……なんか聞いたな…。」
「来航した貿易船の奴らが騒いどるって話やろ?それがどうしたん?」
そう志麻くんが言うと、口元をもごもごさせて、話す言葉を探して俺らから目線を外す坂田。怪しさ満点すぎるだろ。
大方お嬢に内緒にしてって言われた案件があるのだろう。そしてお嬢はこれが知れたら怒られると思っている。本当に2人してわかりやすくて助かる。
そして意を決したように前を向いた坂田が「実はな」って続けた。
「お嬢そのこと解決するために最近よく街におりとったらしい。」
…あのあほは………。
俺がむっと顔を顰めると、坂田はお嬢の代わりに弁解してきた。
「お、お嬢には言わんといてな!!嫌われたくない!」
「お嬢はそんなことで嫌わねーよ。…-ただ無視されるくらいだよ。」
「それが嫌やねん!!」
「お願い言わないで」って縋りながら、喚く坂田。
まあ、“いつも”言わねぇじゃねぇか。
お嬢へのカウンセリングを兼ねた体調管理を行う坂田は1番お嬢の身の回りを理解している。こいつの忠犬ぷりからみても信用しやすいし、話しやすいってもんだと思う。
だからこそ、坂田ひとりで解決できるものは置いといて、こういった案件は報告する手筈になっている。
だがまぁ、コイツが気に病むのもわかるし、任務とは言えお嬢に嘘をつく行為は気が進まないだろう。
「あぁ、だからか…。」
「センラもなんか聞いたん?」
黙っている志麻とセンラを見やると、納得したように感嘆の声を上げるセンラがいた。
「“俺たち4人を守りたい”って言うてましたよ。」
.
635人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくらいろ(プロフ) - over the rainさん» 応援ありがとうございました!長い間何も更新しておらずすみません…これからはちゃんと更新を続けていくつもりですのでまた見ていただけると幸いです! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - くらっかーさん» 応援ありがとうございました!ようやく受験が終わったのでこちらの活動の方も再開させていただきます! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - 舞花さん» 舞香さん、アカウント変えて気づかないかもしれませんが、リクエストの方了解致しました!私も後々やまだぬきちゃんは出演させる予定だったので参考にさせてもらいますね!ありがとうございます(*´˘`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 - 受験お互い頑張りましょう!また会いに来ます! (2020年1月1日 23時) (レス) id: 957c180cee (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 受験勉強大変ですよね!首を長くしてお待ちしてます! (2020年1月1日 9時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくらいろ | 作成日時:2019年11月4日 0時