青い月にはご用心【ヴァニタスの手記】

記憶 ページ3

吸血鬼

通称 "ヴァンピール"


人間の生き血を吸う伝説上の生物

作り話だと捉える者が大半だが


断言できる

吸血鬼は存在すると。


それを証明しろと言われても

上手く説明は出来ないけれど。


私は、人間も吸血鬼も

等しく嫌いだ。


私は、誰にも愛されたことがない

愛されることも、愛することも

怖いと感じてしまう。


どうせみんな、私のことを

道具だと言うから


裏切られるくらいなら

このまま独りで、人生を終えたい。


私は、誰にも必要とされていないから。


愛されることを恐ろしいと感じるけれど

でも

何故だろう


あの青い瞳が、忘れられない


頭から離れない

何故か、それだけが記憶に残っている。



「ねえ聞いた？吸血鬼の行方不明事件」

「1週間で3人も消えてるらしいぞ」

「吸血鬼を誘拐してるってこと？」

「吸血鬼が消えるって、俺達からしたら
平和なことじゃねえか」


街に住む人達の、なんでもない会話

世間話



「きっと狩人がなんとかしてくれるさ」


ﾋﾟｸﾘ


思わず肩がはねる


狩人

通称 "シャスール"


教会の、対吸血鬼部隊

吸血鬼殲滅部隊と言ってもいいだろう。


その名の通り

吸血鬼を狩ることを職としている者達のことだ。



「教会の狩人が動き出してくれれば
こっちも安心だな！」



ああ、頭が痛い

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