のぞむくん【d!】【zm】 (ページ7)

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夏休みが始まるまで、後一週間。わたしは四六時中、夏休みに家族四人で何処へ出かけようかと悩みに悩んでいた。
先生から配られるプリントを隅々まで確認したり、お友達に夏休み何処に行くか聞いたり。
出来る限りの事をしていた。

(あと一週間…！)
｢な…なぁ、A｣
｢ん？なに？大くん｣
｢……話したい事、あるんやけど…隣の空き教室、行かん？｣
｢？…うん、いいよ｣

ランドセルを一旦自分の机に置いて、大くんに着いて行き二人で空き教室に入った。

｢…どうしたの？｣
｢……いや、えー…と、｣

大くんは、口を噤んで目線をチラリとわたしの方にやった。

｢…ぼ、……ぉ、おれ、Aの事好きやねん……良かったら、おれと付き合って…欲しい…｣
｢…えっ、…す、すき？｣

わたしがそう聞き返すと、大くんはコクリと頷いた。

…どうしよう。付き合うって事は、彼氏彼女になるって事？

正直言って、大くんの事は好きだけどあまり恋愛として見た事は無い。…けど、その事を大くんに言ったら、大くんは悲しいだろうか？
もう、わたしの友達では無くなってしまうの？

｢……うん、い、いいよ…付き合おっ。｣
｢えっ！？ほんまに？｣
｢…うん｣
｢……ありがとう｣

そう言う大くんは、すごく嬉しそうに笑っていた。

＿＿
＿

｢……｣
｢……｣

いつもと同じ帰り道、なはずなのにわたしと大くんは少し距離を取って歩いていた。

「ぁ…あー、…夏休み、どこ行くか決まったん？ほら、いっぱい考えてたやん」
「え？あ…うん！海、とか…水族館とか…かな、でものぞむくんにも聞く予定だよ」
「…そうなんや。楽しんできてな！」

わたし達は次第にいつもの様な他愛も無い会話をしながら下校をしていた。

＿＿
＿

｢……、…｣
｢…どした？｣

わたしは、何となく足を止めて後ろを振り返った。

「…ううん、何でもないよ」

その後初めて公園で寄り道をした。寄り道なんかして大丈夫なんだろうかと思ったけど大くんが｢大丈夫｣と言っていたから、きっと悪い事では無いのだろう。

ジュースも奢ってもらっちゃたから、今度何かお返ししなければ。