白猫少女。2【転生したらスライムだった件】 (ページ15)

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50 【赫巫女事件】ページ15

｢xxxx､大丈夫？｣
｢他の巫女や神官の方々､民たちまで心配しているのよ｣
｢ねぇ､xxxx･･････｣

長い間沈黙が続いたが､やがてギィッという耳障りな音を立てて扉が開いた｡

｢xxxx･･････!?｣

出てきた姫巫女は以前とは別人のような姿をしていた｡

丁寧に整え結ばれていた頭髪は背中辺りまで伸びてバサバサになり､首に架けていた十字架(ロザリオ)は床に落ちていた｡

｢ずっと出ていなくてごめんなさい､体調が悪くて｣

頬に幾筋もの涙の跡が残っていた姫巫女は口元を抑えてそう言った｡

｢そう､無理はしないでね？｣
｢今日は礼拝があるから、神様に祈りましょう｣

｢はい｣

姫巫女は巫女服の袖口を押さえて､何かを隠すようにしていた｡

礼拝､祈りを捧げる時｡

ゆらり､と姫巫女は立ち上がり呟いた｡

｢･･････ごめんねxxxx｣

周りの者は皆首を傾げる｡
無理もない｡何せ､厳かな雰囲気の礼拝の時の中でいきなり立ち上がり､何故か謝りながら自分の名前を呟いたのだ｡
しかも､それがあの姫巫女だと言うのだから尚更だ｡
バサバサの髪の毛を高い位置で2つに括る｡まるで破壊の暴君のように｡
そして────

｢xxxx､静かに。神に祈りを──ッ!?｣
｢xxxxッ､何やっているの?｣

袖口からギラリと鈍く輝くナイフを取り出した｡

自分の動きを制止する為に近付いて来た司教に向けて､思いきりナイフを振り上げる｡
続いて､近くに居た巫女や民を切りつける｡

｢xxxx､落ち着きなさい！｣
｢君を失うのは痛手だが･･････私達を憎まないでほしい｣

司教が姫巫女を押さえる為に協力して魔法を発動させ､姫巫女の友人たちが説得にかかる｡

｢そんな魔法､無駄だよ｡自分と【繝ｫ繝ｼ繝溘い】の魔力は親和性が高いんだ！その辺の奴らになんて絶対に負けない！｣

司教たちの魔法を破り､友人だった筈の巫女たちを切り裂いていく､そのナイフ捌きには迷いなど無い｡

｢あはははは､やっぱり人間は弱いね！自分自身強くなった自覚はあったけどここまでとは思わなかったなァ！｣

魔法で生み出したのか､最初は1つだけだったナイフは5本程にまで増えており､姫巫女の周りをぐるぐると回っている。
かの姫巫女は物を創る魔法が苦手だった筈なのに｡

ナイフが飛ぶと､再び新しいナイフが増える｡

そうして姫巫女による虐殺が続き､姫巫女は紅く､赫く染まった教会で狂ったように笑い続ける｡
彼女自身､返り血を浴びて美しい白髪が赫く染まっていた｡